2009年9月13日日曜日

アテンション プリーズ

日本のニュースでは企業として万策尽きた日本航空がデルタ航空に救済を求めた事を報道していた。単刀直入に違和感である。まず日米の航空会社を単純に比較する事に意味を感じない。なぜなら自由化の荒波が激しかった米国ではマージン(利ざや)の下落で1990年代後半から航空会社は軒並み経営が行き詰まり、結果、「アメリカン」と一部ローカル航空会社を除き、大手の「ユーナイテッド」「デルタ」「ノースウエスト」は事業を続けながらも軒並み倒産した。そしてデルタが会社更生法を抜けだしたのはほんの2007年の事である。その意味では米国の航空会社は市場原理の洗礼を最も受けた産業かもしれない。ただそれが日本の航空会社が目指す姿として果たして正しいのだろうか。

そしてデルタにすがりついた日本航空の覚悟はいか程のものか。デルタの社員はパイロットを含めて何度も給料カットを経験している。労働省の資料によると、現在米国のパイロットの平均年収は6~7万ドル(700万)である。一方日本航空に関してはこれまで甘い体質が何度も批判の対象となってきたが、一方で一日本人としてJALの存在は捨てがたいと感じる。日本独特のサービスも然り、そのサービスが高コストの元凶なのは明白だが、一方で平和主義国家日本の翼としてJALはテロの標的になりにくいという安心感がある。結果私自身は多少値段が高くとも日本へはJALかANAだった。

そのJALが競争の原理にさらされた米系の傘下でどうなるのか。国もJALの甘い体質を変えるにはこの手段は有効だと考えたのだろう。JALを完全な民間企業とするならこの様な試練は正しいかもしれない。だがJALを完全な民間にする事は真に国益につながるのか。私はこの救済はどこか違和感が残る。JALに肩入れするつもりはないが、島国である日本の航空会社をまるで国内に乱立したタクシー業界の淘汰と同じ考えていいのだろうか疑問だ。問題は半官半民をという中途半端な状況を長く放置しすぎた事ではないか。米国でも金融危機の遠因にファイニー/フレデイーとい半官半民の住宅公社の存在があった。半官半民は途中までは効果的かもしれない。だが長すぎると国家にとって癌化する・・。





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