鳩山政権が発足した。米国に住んでいる身としてはまずは米国との外交がどうなるかを見たい。そんな中で本日は経済面で日本と中国が米国債の買い増しをしている事実が判明した(TCI)。これは中国はドル資産からの逃避をちらつかせながら相変わらず米国債を買い続けている「コラテラル状況」を示唆している。そして日本は民主党が政権を獲得する前に打ち出していた「影の内閣」で財務大臣だった中川氏がドル建ての米債に懸念を表明した事から、実際に民主党政権が発足してどうなるか。まずはそれを見たい。
ところでその米中は久しぶりに貿易でつばぜり合いをしている。まず米国が中国産タイヤへの関税を持ち出し、それに中国が米国からの鶏肉輸入削減で応戦した。ただこれは立場が衰えている米国側から仕掛け。よって米国は本気ではないだろうし中国もそれを承知しているはずだ。恐らくは健康保険や金融規制強化案で議会から大幅譲歩を引き出さなければならない政権がまずは議会に点数を稼がせたのだろう。それは米国がタイヤというメジャーにならない題材を選んでいる事もさることながら、中国側が鶏肉で応戦した事からも窺える。そしてその理由は「足先」である。
今日のNYTIMESによると、米国は中国に年間4000億円程度の鶏肉関連の商品を輸出しているという。内訳をみると、国内で消費される胸や腿の精肉部分は20%程度で輸出の大半は手羽と米国人が殆ど食べない「足先」だという。そういえば中国料理には足先を甘辛く煮たメニューがあるが、遺伝子改良で肥大化した米国産ブロイラー足先は大きく中国人が最も好むらしい。結果、豊かになった中国人の趣向は変わらず、どうしても米国産の足先が必要になると米国の輸出関係者は楽観しているとの事である。
こう考えると米国と中国は食品でも興味深い関係を築いている。米国では誰も食べない足先は1ポンド当たり10セントで流通しているのみ。ソレを中国は70セントで購入してくれる。そしてこの関係は金融と同じだ。中国は米国のリスク資産を買わないが、米国は日中が国債を購入する事で国内の株を支える体制を確立している。
要するに外交とは基本は互いの「足元」を見てするのものなのだろう。鳩山政権からは理想的な話が聞こえてくるが、果たしてこの米中関係の様な駆け引きが出来るだろうか。
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