2009年9月15日火曜日

記念日、実は主役交代

同じ記念日でも9・11とリーマンショックの記念日の本日では米国内の雰囲気は違う。当然か。前者では多数の人命が奪われたが、後者では当事者の中に人命の損失は稀だ。あったとしてもそれは中枢からから離れた末端の人々である。ただこの二つの記念日の共通点がある。それは米国は真の意味で反省をせず、あくまでも己の存在は常に正しいという前提に立った行動に出ている事であろう。

ところで、この週末にBBCが作った「リーマン最後の日」という1時間ドラマを見た。(参照WEB)。見覚えのある米国人俳優を使い、当事者達が実名で登場していた。そして内容は評価のしようがない代物だった。理由はストーリーが事実なら、世界が「この程度の人々」にここまで振り回された事へのバカバカしさがにじみ出ている点で作品としては評価できる。だがソレが制作したBBCの想像なら、ウォール街のトップをここまでSTUPID(愚か者)に描くのは滑稽すぎる。ただその中で興味を引かれた点がある。それはポールソンがリーマンを救わなかった真の理由をポールソンがGS会長だった際にファルドとの間にあったとされる確執にその可能性を残した事。現在リーマンショックの表向き理由はその時点でTARPが成立していなかった事になっている。だが確かにそれだけではないだろう。ドラマではリーマンの協調救済を前提にした会議でJダイモンとJマック、それにブランクファインが罵り合うシーンがある。また同席したメリルのJサインはあまりにも姑息な男に描かれている。だがリーマンの倒産が決定後、競争相手が消え、そしてこれで政府による救済が発動される状況が整った事から彼等がラウンジでほくそ笑んでいるシーンはBBCならではの演出だった。

そしてその記念日の本日、オバマは態々ウォール街まで出向き、あのジョージワシントンが大統領就任演説をした26番地で声明を発表する。これは彼が就任当初に掲げた金融改革法案の促進を狙ったもの。だが今日のワシントンポストが指摘する様に、オバマの「改革法案」の主役が「金融」から気が付くと「保険」に移ってしまった現状では国民は関心がないのは実情ではないか。実はこれが再三指摘した増税という禁句で国民を焚きつけ、健康保険に主役をすり替える事に成功した金融側の勝利の実体である。

だがそれでも今日の市場はどこか変だ。5月に瞬間的に発生した「米国売り」の前にもこんな雰囲気があった。これは中国が関税を巡って久しぶりに米国に噛みついた事と、今日の記念日から何かの仕掛けを警戒しているのが理由ではないか。だが「米国売り」は中国が材料にされても長続きはしない。なぜなら中国と米国は一蓮托生な状況、ソレで得をするのは「G2時代」など言われて面白くないロシアぐらいであろう。個人的にはロシアには世界の過剰流動性をその本質(米国売り)に向かわせる力はまだないとみる。

参考、リーマン最後の日(英語バージョン ウイルスに注意)

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