2009年9月24日木曜日

ミッション インポッシブル

最新の国勢調査では、直近の統計期間で米国への定住を前提に入国した外国人と、その様な外国人が米国から本国に帰国した数が初めて逆転した事が判明した。原因はまだ不明。だがこの現象は移民の活力が国を強くしたという米国の歴史からすれば無視できない話である。

そもそも国内の米国人にとっては、インフレが進まない限りドル安は緊急の問題ではない。だが米国に在住しながら永住を前提にしない外国人の感覚は別だ。なぜなら彼らが米国を去る時にドル安では、この国で稼いだお金が減ってしまうからだ。そして今その危険を抱えているのは私自身でもある。

前回も紹介したが、米国が「デイズニー経済」を楽しむのは勝手。だが米国在住の外国人は自分で身を守る必要がある。そしてその外国人からすれば今の米国はまるで「老人ホーム」だ。そこには以前の様な新陳代謝の活力はなく、ひたすら痛みを和らげる世界が広がっている。これでは米国に長居は無用。だが外国人にその様に思われ始めた事を「デイズニーワールド」を楽しんでいる米国人は気にする様子はない。

ところで、そんな中で昨日はアフガニスタンで米軍とNATO軍の指揮を執るマカリスタ司令長官の米国政府に充てた手紙の内容がワシントンポスト紙に掲載された。ただ「極秘」との注釈がつきながらなぜ新聞にすっぱぬかれるのか。この甘い結束は良くも悪くもブッシュ時代とは逆である。そしてその内容は来年までに兵員の大幅増派を要請しており、(最終的に全体で40万の部隊が必要)実現しないとミッション(作戦)は失敗に終わると警告している。

完全に成功したとは言い切れないイラクに続き、仮にアフガンでもミッションが失敗するなら、ベトナム戦争後の米軍の戦闘でそのミッションが完了したといえるのは精々グレナダ侵攻と、僅か500人のパナマ兵を相手にしただけのノリエガ政権打倒ぐらいか。

振り返るとその後のソマリア紛争も然り、米軍は限界を露呈している。そして経済における中央銀行の政策に加え、軟弱なイメージを嫌う共和党保守派の抵抗をしり目に金融市場ではドル安が止まらない。だがこのドル安も今の米国の株式には好材料として受け止められている。この現象がデイズニー経済の特徴である。

いずれにしても、保守派が掲げる痛みを伴う米国の権威復活が国民から支持を得られない場合、ドルの価値はこのまま沈んでいくのだろう。ならばその前にこの国を脱出しなければならない。さもなくば自分のミッション(作戦)も失敗という結末になるリスクがある・・。

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