2009年9月4日金曜日

鳩山VS人工的市場主義

鳩山氏の論文に対して米国が警戒しているとの話がある。またこの話を受け「虎の尾を踏んだ」などと馬鹿げた評価を下している輩がいる。まずこの様な輩こそ米国の手先か、或いは米国の内情を知った様にみせかけて名前を売っているだけの「偽者」であると個人的には確信している。今米国は困惑の意思表示をする事で日本が躊躇すると踏んでいるのだろう。確かにこれまで日本は米国の一言に勝手に尻込みをしてきた。永らくそんな関係が続き、日本に注意を注ぐ必要が無くなった事と、小泉政権後の自民党の崩壊過程が米国の地殻変動と重なった為に対日戦略に空白が生じた。客観的に見て米国の現状はこんなところだろう。そして日本が米国の困惑に対して躊躇する事で米国は時間を稼ぐ事ができる。その間に一気に戦略を練り上げ、ソレが施行された時が鳩山首相の最初のトライアルである。

そして米国が対日戦略を急ぐ理由がもう一つある。それは二日前に中国政府が発表したとされる声明である。(添付WEB参照)内容は中国企業がこれまでに欧米の金融機関と交わしたデリバテイブの契約に関し、今後中国企業はその履行責任を負わないというとんでもない代物である。内容があまりにも唐突な為か今のところCNBCなどのMEDIAでは殆ど取り上げられていない。だが中国を頼りに米国はここまで自国の株式市場の回復を煽った。そしてその中国を重視し、米国が指導した市場原理とは距離を置くと主張する鳩山氏がとなりの日本に登場した。確かにこれは米国にとって思案の時だ。ただこの状況において仮に自分が米政権の対日戦略担当なら、米国から先に動く事はしない。なぜなら日本は民主主義の形態が確立した国だからだ。


そもそも民主主義が確立した国の政治家はポピュリズムに支配される。ならば仮にここで米国が日本に対し威圧的な態度を鮮明にすると、小泉政権後米国に対して距離を置く必要性を感じ始めている?国民を刺激する危険性がある(米国からは日本人の実態は判らないものの、NHKの番組を観察しての想像)。国民が米国に今以上に違和感を感じると、鳩山首相は更に強気に出るかもしれない。米国はそんなリスクを取るより日米にとってカギとなる中国を味方にした方がよい。なぜならいずれ日本は新旧どちらかの超大国と歩調を合わせるかの判断を迫られる立場だ。ならばその超大国同士が日本を必要しない程の盤石な関係である事を見せつければよい。米中にはその演出のメリットが十分ある。

そんな中で前述の中国の声明も日本の政変に乗じた米国への先手だったのかもしれない。中国は本気で契約放棄を強制する気はないだろうし、またソレを承知の米国も敢えて事を荒立てない。まずはG20の場での妥協で収まる筋書きではないか。そしてこの2カ国の金融市場は益々政府主導のARTIFICAILな人工的市場主義を続けるだろう。昔も今も体裁を気にする必要がない中国では直接政府が市場の方向性の号令をかける。一方で市場原理の体裁を気にする米国はFEDがGSを介してやらせればよい。いずれにせよ性悪説の根源が似ているこの二つ超大国は結局その同床異夢が明らかになるまで演出を続けられる。そして金融市場ではソレを先取りした人間の勝ちである。

(ご参考)
http://www.reuters.com/article/rbssFinancialServicesAndRealEstateNews/idUSSP
47327420090831?pageNumber=2&virtualBrandChannel=11604


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