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2011年2月23日水曜日
神への冒涜
カダフィーが叫んでいた。28歳でクーデターで政権を奪手してから40年。内部の裏切りを切り抜け、70年代はミュンヘンオリンピックのテロリストを受け入れ、パンナム爆破をやってのけた。
この間一度も米英と妥協せず、汎アラブ主義を貫いたのは彼だけだった。しかし米英の工作で息子を殺され、90年代に入るとトレードマークだったサングラスもあまししなくなった印象だ。そして2000年以降はまるで平和を愛する別人になろうとした・・。
この妥協があってもなくても彼の命運に変わりなかったかもしれない。ただ老人になったといえそこはカダフィー。このまま引き下がるとも思えない・・。
ところで、そんな中東情勢を踏まえ下ったのが株式市場だ。一方で暴騰したのは原油。ただ米国はリビアに大したレバレッジを有していないが、一方で利権もほとんどない。つまり一日で原油先物が5ドル高にもなったのは、米国が休みだった時の欧州の一人相撲だ。
だがオイルはこのまま下がらない可能性が高い。なぜなら、米国にとって厄介なのはリビアよりもバーレーン。バーレーンの王室が崩壊すると、サウジは多大な影響を受ける。オイル市場にとってはその方が重大である。
そもそも中間層の多さからいっても、バーレーンやサウジの王室体制は簡単には揺るがないとの見方が支配的。だが今サウジ王室は米国がどの程度バーレーンの王室に対してコミットするかに注目している。
専門家は、仮に米国のコミットが中途半端に終わり、バーレーン王室が崩壊すると、サウジは第二次世界大戦直後からの米国との友好関係を大転換せざるをえないとみている。そんな事態は今の現役の市場参加者の誰もが知らない世界である。
ところが、そんな市場に対して、本日市場専門番組のCNBCに登場した多くのファンドマネージャーが同じことを言っていた。「VOLATILIYで株が下がるのはMORE THAN WELCOME ・・」。つまり、バーナンケFEDが播いた大量の資金を抱え、運用先を探している彼らからすれば、調整(下落)こそが待ちに待っていた天の恵みなのであろう。誰も中長期の米国の株式市場に懸念を抱いていなかった。
そんな中でひねくれ者の筆者が個人的に待っている次のチャンスは「バベルの塔の崩壊」。これは旧約聖書の創世記で、大洪水を箱舟で助かったノアの子孫が、気分で天災を起こす神を侮り、神を超えようと塔を創っていく話だ。
塔は神が住むとされる高さまで迫り、塔の中のノアの子孫は勝ち誇る。だがそこで神が与えたのが複数の言葉だった。すると塔の中ではみんなが別々の言葉を話すようになり、逆に意思の疎通ができなくなると塔は簡単に崩壊した。結果、人々は散りじりになり、あちこちに国家が生まれた・・。
膨大なマネーに埋もれるファンドマネージャーの話は、そもそも米国は中東とは別次元の世界であり、中東の混乱はチャンスであるという発想である。確かに米国は中東とは違う。だが、では米国がそんなに優れているなら、今ウイスコンシンやオハイオでプラカードを持って格闘している彼らは何者なのか。
筆者からすれば、今の金融は国家と中央銀行によって救済されたにもかかわらず、FRB(米国の中央銀行)がQE(量的緩和政策)を続けるしか選択肢がない事を先取りし、完全に世の中を侮っている状態にみえる。
恐らく彼らからすれば、旧約聖書で神が与えた言葉とは、今の時代のFACEBOOKになるのだろう。ならばここでもそれは金もうけになる発想だ。だがそのFACEBOOKを使い、オバマ政権はついに神への冒涜を始めたかもしれない。
購読する共和党新聞によると、FACEBOOKによって誕生し、その力を熟知しているオバマ政権は、ホワイトハウスに常駐する4人のFACEBOOKチームに新しい使命を与えた。それは外部のネット業者と結託し、膨大な架空のFACEBOOK口座を開設するプロジェクト。目的は2012年に向けて世論をコントロールする事らしい。
共和党新聞の記事なので多分にバイアス(偏見)がある。だが個人的にはこの政権には最初からこの種のスキームの存在を否定していない。それをも含め、今の米国には己で全てをコントロールできると錯覚している事に、「バベルの塔」を感じざるをえない。
少なくとも、今の超大国米国を築いた過去の米国人には、もう少し謙虚さがあったことを筆者自身は知っているつもりだ・・。
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