2011年4月29日金曜日

ライセンスto スぺキュレート(投機の許可証)

LICENSE TO SPECULATE ・・直訳すれば「投機の許可証」。この言葉はヘッジファンドの間では既に一般化されていたが、CNBCによると、昨日のバーナンケスピーチを受け、今朝、ヘッジファンドのガートマン氏が改めて強調したという。(恐らくガートマンレターで)。彼がこの表現を用いた事は、時代がFED議長の救済を好意的に揶揄した「グリーンスパンプット」や「バーナンケプット」を越え、本当はとてつもなく恐ろしい時代に入った事を示唆する・・。

ところで、~許可証と言えば思い出すのは「殺しの許可証」。つまりスパイの世界。その象徴のCIAで本日青天の霹靂の人事異動があった。ゲーツ国防長官の退任に伴い、現長官のパネッタ氏が国防長官に就任し、後任に現アフガン方面の米軍最高司令官ぺテレウス将軍が就任するというのだ。ぺテレウス将軍はウェストポイントを卒業後プリンストンで国際関係のPhDをとった超エリートの米国人。次期大統領候補者の有力な一人だ。二度のイラク戦争に従事し、戦争終結が宣言された2006年は米軍司指令長官だった。そして同時期にアフガン方面を率いていたマカリスタ長官が不祥事で退任すると(オバマとの不仲を雑誌にリーク)そのあとを引き継いだ。

その将軍をオバマはなんとスパイ組織のトップにするという。軍とスパイ、国防を司るのは同じ。だが組織のDNAは異なる。巨大組織の軍隊は序列主義、一方でCIAは専門家者集団。そしてあのパパブッシュがCIA長官を務めた経歴があまり彼に味方しなかった様に、CIAのイメージは野心的な政治家にはこれまで歓迎されなかった。その点を含め、この人事が配下の人々にとっても青天の霹靂であることを今日のNYタイムスとWポストはバーナンケのスピーチよりもはるかに重要に扱っている。

この事からオバマ政権の新戦略が窺える。まず先月発表された予算からも然り、国防においてこの政権は巨大な軍隊を動かす事態を最早想定していない。一方今パキスタンやリビアで暗躍するCIAの数を見ても、国防主役は諜報などのインサイダーワークと考えている。

この変化は米国らしく時代に対応しているといえる一方、この政権の持つ影の部分も強調している。オバマのイメージの下に隠れるこの政権の影は何度も触れてきたが、CIAと軍の違いは真に「殺しの許可証」の差だ。国際法に準じ堂々と戦う軍と、人ごみの中で消されても判らないCIA。息子ブッシュは影が無さ過ぎて迷惑だったが、この将軍をこんな組織に据えるなど、オバマの顔が少しずつどす黒くなってきていることにオバマ自身は気づいているのだろうか・・。




2011年4月28日木曜日

金融GDP (顧客レターから)

英国の貧農だったジョンラルフがタバコで一儲けをたくらみ、命がけで大西洋を渡ってから、この国は世界中から豊かさを求めて集まった人々によってここまで来た。だからリスクテイクは国是である。そして多くの屍を越えて英雄が現れた。その成功を近年この国の庶民が共有した言葉がアメリカンドリーム。この国で家を持つ事は、そのまま消費社会の豊かさへの切符だった。だが昨日の各レポートでもこのアメリカンドリームが死語になった事が明確になった。庶民が持ち家を望まなくなったのだ。 「今住宅は買えないし買っても儲からない」 消費を前提とした彼らに家は明るい未来を感じさせない。この事実はどんな経済済指よりも重い意味を持つ。

一方でマネーを扱うマネーマネージャーが突出する時代が始まった。彼らは中央銀行が自ら市場に参入し、株や債券を買い支える異常性に便乗した。そして今は己が宇宙の支配者のような自信に充ち溢れている。だが彼らの多くは過去この国に登場した資本主義の英雄とは異質だ。例えばジョンラルフから数えて250年後、この国では株が暴落する最中、カーネギーが大規模な鉄工所を作り、その鉄でバンダービルドが鉄道を整備し、整備された鉄道を有効に使いロックフェラーが巨万の富を築き、また発展していく流通網を目の当たりにした駅員のシアーズはカタログ販売を思いついた・・。彼らは大きな賭けをした。だが誰も中央銀行の保証の元ではない。個性は様々だが全員が厳格な市場原理の中の真の英雄だった事は間違いない。

振り返ると今の米国の原型が完成したのはレーガン時代だ。直前に挫折があり、その挫折を克服することでレーガンがこの国を変えた。それを身近で感じるは学校やスポーツクラブで会う米国人の親たち。彼らは子供の弱点を許し、良いところを強調する。多くの日本人には甘すぎると感じるだろう。だがこれを米国の伝統と考えるのは間違いだ。彼らと話していると判るが、恐らく彼らは自身はそこまで甘やかされて育ってはいない。ではなぜ。それがレーガン時代の経験である。レーガンは厳しさを国民に要求したカーターを破った。レーガンのキーワードは単純だった。「米国には明るい未来が待っている・・。」まずは国民にこの気持ちを浸透させ、後はフリードマンなどの専門家を使い、新しい時代も演出した。そこでは実態はどうでもよい。その象徴が彼の掲げた「小さな政府」。今の共和党は金太郎飴のように言う。だがレーガンの事実は、軍事など、彼は近代で政権組織を最も拡大した大統領である。

そしてレーガンからクリントン時代にかけて家を買い、子育てをしたベービーブーマー。筆者も遅ればせながら99年に家を買い、日本人でありながらこの時代の意味を実感した一人である。この人達はどちらかと言えばリベラルでありながら、二期目のレーガンに投票し、当時はレーガンデモクラティック、今はクリント二アンとも言わる世代だ。今この世代が中心となって米国のかじ取りをしている。バーナンケもその一人。彼の今日のスピーチでこの国の歴史が代わるほど彼は大物ではないが、この世代がこの国をどうしたいのか、その象徴にはなる。

そんな中で米国は別の意味でも初めての経験を迎えている。ソレは他国から抜かれる事。既に製造業では中国に抜かれたといわれる中、最新の調査ではGDP全体でも2016年に中国に抜かれるかもという意見が出た。ただそれでも金融は余裕だ。CNBCで自信満々のマネーマネージャーは、中国の金融GDPは今の時点で世界の2%に過ぎず、世界の金融GDPの40%を仕切る米国は安泰だという。「金融GDP」。コレでわかった。レーガンが今の世代に残した未来の希望は金融GDPだ。この尺度なら米国の優位は揺るがないし、また中央銀行が存在する限り、理論上そのGDPには上限がないのではないか。そしてこの世界の尺度ではまだまだモノはCHEEPである。ならば今の米国が主導するこの世界を生きるためには発想の転換が必要。ちょうどそれはレーガンが登場した時の様な・・。


<レーガンとは誰か>

シカゴから車で西に2時間、デイクソンという町がある。レーガンはそこで育った。少年時代から酒を知るちょっとしたワルだったが、一方でライフセーバーとして7年間に77人の人を救った。そして最初の仕事はカブスのお抱えキャスター。ところがカブスがキャンプでLAに滞在した時、ガールフレンドの紹介でハリウッドを訪ねる。転換点だった。そしてここからが彼自身が自分を「変節の男」と認めるコンバージョン人生が始まる。俳優としてはハンサムすぎて?二流どまり、愛国心は十分だったが近眼すぎて米兵と日本兵の見分けができず戦場には行けなかった。代わりに軍による戦争映画の主役になることでハリウッド映画にはない意図、つまり大統領に向けて演技の人生が始まった。そして変節は、戦争が終わり俳優協会の委員長になってから顕著になる。ハリウッドに赤狩りの嵐が吹いたころ、自分は協会代表を務めながら実はFBIのスパイとして国家に協力した。また政治家としてもニューデイール政策に共鳴して民主党員としてスタートしている。その彼が一貫して変わらなかったのが反共の姿勢だ。変節を厭わない彼のこの拘りが、やがてトルーマン アイゼンハワー ケネデイー ジョンソン ニクソン フォード カーターの誰も達成できなかったソ連打倒の米国の目標を実現させる。また経済面で彼に多大な影響を与えのがGEの専属セールス俳優として新商品のTV広告に出続けた事。彼はここで演技を通して「消費者との対話」の重要性を学んだ・・。(HBOレーガン参照)では一体レーガンとは、どこまでが演技どこが本当だったのか。身近にいた誰もが判らないまま魅了されたという。まあそれが米国の大統領の本質なのだろう。だから今彼の顔はマウントラシュモアの次の顔の候補である。だが、レーガンによって楽天的への変節の効果を知った今の米国が目論む変節の先は、ソ連を倒した後のあの時の様な明るいモノだろうか。この見極めは、米国を追随する日本にとっても非常に重要な課題である・・。





2011年4月26日火曜日

田舎者からの脱却

世界に影響を与える100人に被災地から二人の日本人が選ばれた。自然の前では人間がいかに無力であるか、ソレを知る二人が「影響力がある」というタイム誌の観点は、意味があるような無いような話だ。この話を聞いて思いだしたのが、世界のベスト50レストランに入った二つの日本のレストラン。味は当然しらない。ただ米国で最上位に入ったシカゴのALINEA(全体の6位)と、ランキングの常連のダニエルとベルナルダンの味は覚えている。これらは味と言うより話題性と雰囲気が突出していた。ALINEAのシェフは調理師として致命傷の舌癌を克服した人で、話題になり始めた2007年頃に行ってみた。日本の味も入れながら一口サイズの料理を13~20皿出す演出は米国人にざん新だった。

ところで、一般的に日本人は世界に出ると急に自信が無くなるとされる。つまりそれは人目を過剰に気にするということだろう。ただその日本人も、日本人の味覚は世界でも最も優れていると感じる人は多いのではないか。だから世界のトップ50のレストランに日本のレストランが二つしか入っていなくとも気にしない。ならば今の日本はこの自信が他の分野でも必要だ。ただ自信を持つためにはやることがある。まずは現状分析を自分でやること。相場でもそうだが、この過程が出来ないトレーダーは勝てない。なぜなら現状に自信がなく振り回されるからだ。

そんな中、今の日本は選挙で騒々しい。まあ管総理を生かすも殺すも日本人の自由だが、世界から褒められた日本人の行動も早晩必ず反対の批判にも晒されるはず。タイム誌やレストラン評価と同様に、世界の目などそんなものだ。その時に日本がぶれてしまうかどうか。明治以来西洋は日本人が世界からどう見られるかという意識の奴隷になっていることを知っている。ブレてしまえば日本は世界の田舎者から抜け出せないで終わるだろう・・。



2011年4月23日土曜日

報道者たち


今ウォールストリートジャーナル、ワシントンポスト、ニューヨークタイムスの三大紙を比べると、ワシントンポストが政権の広告塔になり下がってしまった中、ジャーナリズムを感じるのはニューヨークタイムスのみ。(Wジャーナルは論外)

これは個人的見解としても、同紙が国際情勢などを報じる写真でライバルを凌駕していた事を否定する人は少ないはずだ。そんな中、同紙に多くの衝撃的な写真を提供していきた二人のジャーナリストが死んだ。

日頃パソコンを見ているだけで世界を知ったような気になっている我々は、実は何も知らないことを知らないだけかもしれない。

(添付は今日のNYTIMES。一面の写真はChris Hondrous 氏が最後に世界に向けて発信した写真。そして彼の残した数々の写真はその下のWEBで観ることができる。)


http://lens.blogs.nytimes.com/2011/04/20/parting-glance-chris-hondros/?ref=world





2011年4月20日水曜日

日本車のピンチ

ここ数日、ニューヨークタイムスの一面は瓦礫の前で呆然とする被災者の姿がある。だがこれは東北の人ではない。先週ノースカロライナを襲った竜巻は30人以上の死者を出した。米国では竜巻で人命が失われるのは珍しいことではない。だがこれでオバマも日本の被災のことばかり言ってはいられないはずだ。なぜなら2012年の選挙戦はすでに始まっている。

ところで、こちらでは企業の2011年第一四半期の決算が佳境を迎えている。ここまで発表された決算では、半数以上の会社で業績が目標を下回った理由に日本の震災を上げているという。金融をやっているとそこまでのイメージはないが、2010年にはメーカーの経営者も今年の株高まで織り込んで随分高い報酬受け取った。株価至上主義のこの国で、彼らにとって日本の震災は体のいい株主への「言い訳」になっているのかもしれない。

そんな中、今日本の自動車産業が辛いのは自分の趣向からも実感する。実は先月までトヨタのハイブリットを乗っていた。それを日産のハイブリットに変えようとしたところ、シカゴの日産には在庫がなく、仕方なくトヨタの別の車種を注文した。そこに大震災。注文の車種はいつ来るかわからず、結局別のトヨタのディラーで注文車種のデモカーを代わりに入手した。

この様に、米国市場では日本車の流通が滞る中、欧州車が快走している。昨日BMWが今年発売予定の電気自動車を公開。そして今日はポルシェが新型ハイブリットを公開した。これらは日本車が得意としたところ。この国ではピックアップトラックはBIG3に愛着を持つ人が多い。ただそんな人もセダンは日本の新技術に引き寄せられていた。韓国やBIG3は新技術では日本車に勝てない。しかしここでドイツ車にシェアを奪われるのは厳しい。

それにしても、ポルシェが最初に電気とガソリンのハイブリットを作ったのは1900年だったという話には驚く。当時は全く人気が出ず生産は直ぐ終わったという。そもそもその頃の米国では電気自動車がかなり走っていた。だからフォードやGMの社名には「モータース」がつくらしいが、圧倒的にガソリンが安くなっていく中、ハイブリットの入り込む余地はなかったという事だろう。ならばニーズが逆の今、あっという間に電気自動車の時代が到来するということかもしれない・・。




2011年4月19日火曜日

喜劇のような悲劇 顧客レターから


格付け機関のS&P社がついに自国の国債にも格下げの黄色信号を出した。米国の格下げ警告は、やる勇気があるなら過去の実績からしてもムーデイ-ズではなくS&P社だろうと思っていたが、今日の金融市場はかなりの激震となった。だがこれは警告にすぎない。誰も本当に米国債が米国の格付け機関の手によって格下げになるとは思っていない。よって、株式市場ではすぐさま強気論が台頭していた。

だが引け後にCNBCに登場したPIMCOファンドのエルアリアン氏が言うように、S&P社の話が起こる前から今日の株先は下がっていた。そのトレンドを見逃すべきではない。そんな中で本日欧州市場ではまたクラブメド諸国(地中海のソブリンリスク諸国の総称)信用問題が途中まで話題になっていた。しかし、ギリシャはともかく、スペインは今それどころではないだろう。なぜならこの3週間の間にスペインではバルセロナとレアルマドリッドが4回戦う。(リーグ戦、国王杯決勝、チャンピオンズリーグ)これは多くのスペイン人にとって一生に一度あるかないかの出来事。ワールドカップよりも重要だ。ならば民衆レベルでは誰も市場など気にしていないはず。

このように、金余りの金融市場は各国の材料で右往左往している。だがスペイン然り、当事国の中には金融市場からどう見られるかなど無頓着の国もあろう。実は日本もそのような泰然さがほしい。その意味で紹介したいのは、日本が今未曾有の国難にあるのは誰の目にも明らかだが、見た目は国難に見えなくても、実は日本以上の国難に面している国はたくさんあるということ。

例えば米国では、2008年、ベアスターンの最後経営者で、同社が倒産した日に呑気にゴルフをしていたケイン氏はいまだにプラザホテルの28億のアパートに住み、また、AIGでCDS引き受けの陣頭指揮を執ったカッサーノ氏は100億円のサーベイランスを返さず、そして、畑違いのGMからやってきてはメリルが食中毒になっているのを全くわからなかったオニール元CEOは300億の退職金を減らされていない(NYTIMES)。そんな中で庶民は4ドル超えたガソリンに頭をかかえている。

では政治家はこの米国を元に戻す力あるかと言えば、2012年の大統領選の共和党候補者をみると、ロムニーを除き、今名前が挙がっているのは サラペイリン、ミッシェルバークマン、ギングリッチ、ロンポール、そこに加えてドナルドトランプなど、まるでジョークのような顔ぶれ。ロムニーとてとても共和党の本流ではない。これは、民主党選挙対策本部のジェニファーオマリー女史が、「もし彼が出れば民主党にとって脅威になる」と唯一警戒していたジョンスーンが出馬をやめた事で、このままでは選挙そのものがコメデイなってしまう錯覚を覚える。

これなら常識的にはオバマ政権は続くと今は考えるべき。万が一不測の事態になったら、居眠りをしていたバイデン副大統領の登場。これでは再びヒラリーが取りざたされてもおかしくないが、いずれにしても、どの道「金融」は安泰のシナリオではないか。だが本当はこんな時こそサプライズを意識しなければならない。その材料が以下の二つのWEB。ともに金融の仕事をしているなら必読。これを読めばGDPは国家の健全性とは無関係なのがわかる。

上段のローリングストーンは先週紹介した金融に支配され常軌を逸した今の米国の話。そして下段のエコノミストはその金融の魔力を恐れるあまり、極貧からビジネスを興し、資産300億円のドリームを成し遂げた若い女性経営者を死刑にしようとしている中国共産党の話。これを観る限り、米国は本当は日本以上の国難に瀕していると感じる。そしてその意味を分からなくなっているこの国は哀れだ。

何度も言うが、この二つの国はGDPとやらが今日本より上。だがそんな事は関係なく、また~主義などとの概念にとらわれず、新しい価値観を日本が築くことができるかどうか。本当に頭が良い日本人は今こそ集結し知恵を出せ・・。

<ローリングストーン>

http://www.rollingstone.com/politics/news/the-real-housewives-of-wall-street-look-whos-cashing-in-on-the-bailout-20110411

<エコノミスト>

http://www.economist.com/node/18560729







2011年4月16日土曜日

ストップオーダー(損切り注文)

メキシコの麻薬カルテルを追った秀逸なCNBCの特集を観た。もろもろの話はもう触れないが、メキシコのGDPの78%が何らかの形で非合法ビジネスとつながっているとの米国の分析は衝撃的だ。麻薬はその根幹。歴代の大統領は皆カルテルとの対決姿勢を示したが、政治も警察も上層部はカルテルとつながっている中、正義感に感化された下級の兵隊、警察官が殺され続けている。こんな国がこの国の隣にあることが不思議だ。カルロススリムはこの国の格差を利用し世界一の資産を誇る。だから彼の携帯電話会社の料金はべらぼうに高い。なぜなら、何かを恐れ誰も参入しない。一方米国はマネーがメキシコの麻薬になった。麻薬と同じようにそのリスク(インフレ)を皆が口にする。だが最早誰も駆逐できない。そして国にもメキシコのような格差が生まれしまった。では日本はどうか。震災から1カ月。被災地を支えるコマーシャルが流れ続ける。だが本番はこれからである・・。

ここでは米国の現状を踏まえいろんな事を言ってきた。ただここに至り一番大事な日米の違いを指摘したい。それは、日本は国家を家族・会社・自治体などの組織の延長として考えているが、米国ではその感覚は州まで。米国人にとって国家は組織ではなく小世界である。では小世界と組織の違いはなんだ。それは絆だろう。この国で絆と言えばマフィアの血や兵隊が仲間を思う気持ち。国家のレベルで絆を感じた事はない。そして大統領の考える国益は小世界が永続するためであって組織の利益ではない。その違いはストップオーダーだ。小世界では損切りは必須。一方で組織では損切りを前提する事は難しい。

その国の相場はその国の社会を反映するという。大昔野村を頂点に4大証券が勢力を誇った頃、日本にストップオーダーはなかった。さすがに今はそうはいかないだろうが、米国に来た頃初めて知ったストップオーダーの合理性に感激した。そしてストップオーダーがない日本を遅れていると感じた。だが今は違う。市場にストップオーダーが必要でも、社会に損切りが必要かどうかは別だ。全滅を避けるためにストップオーダーが出すこともあるかもしれないが、日本という国は誰のためにあるべきか。メキシコや今の米国をみると、その本質に帰る重要性を感じる。震災は間違いなく日本にそのテーマを突き付けている・・。


2011年4月15日金曜日

不平等な災

ミリオネイラーという言葉があるが、ワシントンポストによると、今ルイジアナではスピリオネイラー(SPILLIONAIRER)と言われる新しい金持ちが生まれているらしい。その新しい金持ちの生みの親はあのBPだ。

そろそろあの事故から1年がたつ。この間にBPが投下した資金は1.3兆円。この資金は漏れた原油のクリーンアップなどの処理に回されたが、既に今の時点でこの災害で儲けた人が大勢生まれている。

例えば、オイル回収に使う発電機を借りている業者は、月額10万円のリース料をBPには150万円で請求し、また土地を借りて作業をしている会社は、一カ月の15万の賃貸料をBPにはなんと1億円で請求していた。

これらは一部。これだけ潤えば当然だが、近隣のST BERNARD PARISHと言う町では、本来閑古鳥が鳴いているはずの現地の商店街は盛況となり、前年の同時期の2倍にあたる25億円の消費税が事故後の半年で集まったという・・。

<ワシントンポスト>

http://www.washingtonpost.com/national/spillionaires-are-the-new-rich-after-bp-oil-spill-payouts/2011/04/11/AFjaqsWD_story.html?nl_headlines

こんな話を聞くと、未曾有の災害に見舞われた日本人としては複雑な思いだ。なぜなら今回日本は天災と人災の両方に見舞われた。明らかに賠償の対象になる福島と、天災だけの宮城岩手の人々に差が生まれる可能性がある。

またBPの事故の賠償金は英国人の年金が負担したが、原発事故は東電だけでは賠償は無理。よって国家が負担するとなると、それは日本全体の問題。万が一このまま景気が悪くなり、被災地以外の人々にも余裕がなくなった場合などを想定すると辛い話だ。

おそらく日本はまだ興奮状態。だが次に来る困難を前に国家が一枚岩を維持できるかどうか、本番はそこからである覚悟が必要だ。










2011年4月14日木曜日

首都を移転せよ







冒頭の写真は大手ゼネコンが90年代から、直近では2004年にかけて描いた未来の東京の姿。だが、こんな姿が実現する前に、首都東京はその機能を当然のごとく維持できるのかどうか。より現実的な課題がそこにある。そこで参考までにこの国の首都の話をしたい。

独立後、米国の首都がワシントンに決まった時、既にニューヨークは圧倒的な街だった。にもかかわらず首都はなぜワシントンに決まったのか。建国の父が激突したこの話の詳細を解説するとここでは収まらない。だがポイントとして、入植の歴史からも、街の機能からも、ニューヨーク近郊に首都を置くことを最後まで主張したのがあのAハミルトンだった事が重要だ。彼は金融の重要性を説き、中央銀行の設立でも他の建国の父と対立した。結果、建国において最も優秀な人物の一人でありながら、初代財務長官を務めただけで、大統領になることなく決闘で死ぬ。その彼が妥協の条件にしたのがNYを含めた北部の負債の救済。つまりハミルトンはNYの首都をあきらめる代わりに、他の州にNYの借金を押しつけることで実利をとったのだ。

映画「ウォールストリート2」では、財務省に集まり、リーマン後の処理を議論するWストリートの経営者の合間で、オリバーストーンはこのハミルトンの肖像画を敢えて映す。このシーンの意味を理解できればかなりの通だが、結果的に金融の街のNYを救済し、その負担を平等に全米の納税者に分担させたガイトナーやバーナンケにとってハミルトンは先生である。そしてハミルトンの偉業は10ドル札の顔として報われているが、今のDCの場所は折衷案としても、利便性という合理性にとらわれず、新しい国にはシンボルとして新しい場所の首都が必要であるという考えを実行したGワシントンやJマデスンのフェデラリストの気概も相当なものである。

では、新しい国づくりを掲げる日本に首都機能を東京から移す覚悟はあるのだろうか。何でもかんでも米国のまねをする以上、首都の考え方も真似てほしい。また首都移転に躊躇するなら以下のWEBは必見である。これは昨日のワシントンポスト。ここで米国の科学者と京大の教授は、公式には発表していないものの、あの地震でこれまでに蓄積されたエネルギーは去ったと考えるの間違いで、地震をきっかけに日本の地盤は複雑骨折?の状態になった可能性があり、その場合はこれから10年以上をかけて固まるまで地震を繰り返すとしている。

http://www.washingtonpost.com/national/strain-from-japan-earthquake-may-lead-to-more-seismic-trouble-scientists-say/2011/04/11/AFLGz9KD_story.html?nl_headlines

実は全く同様の分析をブリタニカの科学者が地震当日に米国のラジオで披露していた。実情を踏まえて敢えてその事をここでもブログでも触れなかったが、ワシントンポストがこんな記事を載せた以上は最悪を前提にする覚悟が必要だ。そして上の記事で彼らが心配するのは東京の位置である。詳細は譲るとして、地震で近代建築の耐震強度は証明されたが、あまりにも東京は集中しすぎた。その東京をここでは「日本の最高傑作」としてきたが、首都機能がマヒしたら場合の二次災害のリスクはあまりにも大きい。

そんな中、どさくさの中で石原都知事が再選されていた。個人的に好きか嫌いかで言えば石原氏は好きだ。ただそれは都知事としてではなく、彼の個性が貴重だと感じたからだ。だが石原氏も80歳が目前。現職有利の状況だったとはいえ、東京には他に人がいないとしたら、やはり「東京は売り」だろう。いずれ市場では「東京売り」VS「それ以外買い」が始まるはず。逆に、石原氏に代表される「東京は例外・・」「東京が死んだら日本が死ぬ・・」などとこの期に及んで日本人が考えているなら、それは間違いなく「日本売り」である・・





2011年4月13日水曜日

ウォール街の妻たち

4月15日を前に、今年はCNBCで少し変わったCMが流れている。朝のショーを担当するベッキーは、派手な女性が多い同局のキャスター陣ではどこかインデイアナの田舎臭さを残す。そのせいかバフェットは彼女がお気に入り、彼女なら同行取材OK、どこにでも連れて行く。そのベッキーがCMで視聴者、つまり市場関係者に訴えているのが「税金をきちんと払いましょう」という事。4月15日はその期日だ。ただこんなCMは他局では見ないし、CNBCでもこれまで流した事はない。まるでこの局の視聴者は税金をごまかすのが当然との前提が窺われるが、国家財政が苦しい中で、彼女は毎年米国でごまかされる税金は$300B(25兆円)に上ることを紹介している。

そういえば、偏見かもしれないが、東北の被災地への米国からの募金で目立つのは金持ちではない一般の米国人の好意や或いはあまり金の本質に詳しくないスポーツ選手などだ。逆に日頃一緒にCNBCを見ている周りの米国人の市場関係者の中で募金をしたという人を誰も知らない。あの日彼らは私の日本の家族のことを気にしてくれた。だが、皆それなりに金を持っている一方で(メンバーシップだけで数億円)、今の興味は日本の復興で儲かるポジションである。ずばりこれが現実。そして世の中は、全体を見渡す立場で、人の命とマネーを割り切れる人が動かしている。つまりマネーにたけた人。ただそれは陰謀などと言うものではなく、これまでの人間の歴史が証明してきた社会の安定のために必須な格差だったといってよい。

だが今この国ではその格差はさらに拡大し、おそらく許容範囲の域を超えた。そのサンプルを金曜日発売のローリングストーン紙が取り上げるという。そこではモルガンスタンレー会長のジョンマックの妻、クリスティーの事が載っている。少し紹介すると、彼女はジョンマックの同僚の妻たちと危機後に15Mでファンドを設立。同ファンドは金融危機後にFEDが行ったTALFから220Mを調達した。そしていまだに150Mは返済していない状態だが、ここで問題なのはTALFの異常性である。

そもそも議会を通したTARPとは対照的に、財務省とFEDが行ったTALFプログラムは発足当初からデタラメさを危惧する声はあった。だが金額の大きいTARPばかりが話題になり、結局このTALFがどうなったかを今だメディアは殆ど触れていない。だがそこにローリングストーンはメスを入れた。ローリングストーン紙がこの種の話題にメスを入れたのは2度目。一度目はGSを世界に巣くう蜘蛛として糾弾した2009年だ。その記事は金融改革法案など、その後の世論に影響を与えたが、今回のジョンマックの妻の話もかなりの内容である。これもいずれ影響を与えるだろう。(参考)

http://www.nydailynews.com/gossip/2011/04/12/2011-04-12_rolling_stone_magazine_writer_matt_taibbi_unveils_unfair_investment_practices_by.html

ところで、ローリングストーン紙は1970年前後にUCバークレーの学生が始めた雑誌らしい。同校はハーバードなど名門私立が中心の全米国大学リーグの第一次メンバー。(公立ではバークレー、ミシガン ウイシコンシンの3校だけ)つまり名門だ。私事だが、そのバークレーに知り合いの米国人青年が合格した。その青年は数年前から娘の友人として家に遊びに来ていた。学業優秀なのは聞いていたが、妻が見たら卒倒するであろう場面にも遭遇し、日本人の父親としては正直困った存在だった。今年彼はバークレー以外にもシカゴ大学やスタンフォードなど、軒並み名門から入学を受理されたが、実家が学費を払えないという事でまずは海軍に行き、そのプログラムの延長でその後でバークレーに行くという。その話を聞き、自分の中で彼の評価が一変した。お金に苦労しても、彼のような青年がいずれのこの国のエリートになり、金融に支配されておかしくなったこの国を救う事を願っている。(逆のリスクもあるが・・)





2011年4月8日金曜日

5.16事変に向けて( 顧客レターから)

(ファイナル)
厳密言うと、今の米国には3つの政治勢力があると考えたほうがよい。まずは民主党。一方共和党は守旧派と急進派に分けるべきだ。年初から民主党と共和党守旧派はそれぞれの利害一致し政争を避けた。そこに国際情勢の激化が加わり米国は不思議な安定期に入った。それが株式にも好影響をもたらしたが、そうなるとTEA PARTYの出番はない。紙面から彼らが消えたかけた。ところが、4月になり急進派が動き出した。急進派の中心、エリック カンターやポールライアンは40代前半。彼らはギングリッチの大失敗を繰り返したくないベテランの守旧派とは違い、本当に米国の未来を心配している世代だ。

では急進派は何をしたいのか。ソレは財政の縮小である。そのために今二つの脅しをかけている。まずは政府のシャットダウン。次はDEBT CEILINGを引き上げない脅しだ。15年前のシャットダウンを経験したが、不便を感じた記憶はなくソレで相場が大きく動いた記憶もない。ならばコレは起こってもよい。ではDEBT CEILINGはどうか。この脅しはクリントンの時はなかった。当然か。当時米国のDEBT CEILING は$5.5T。今の半分以下だった。

要するに最大のイベントはDEBT CEILINGに対して共和党急進派がどうでるかである。そしてその期日は5月8日。(ガイトナーの5月16日ターゲット)この日までに政権は予算で何らかの妥協をしないと米国債は利払いに支障が出る相場をやらなければならない。そう。あのTARPが最初に否決されたあの時と同じパターンだ。結果妥協が成されるとして、テクニカルデフォルトの脅しが掛けられた債券が急騰するかどうか。そのイメージを今から準備しておくことが重要だろう。この5.16に向けて事前に相場が動き出せば(株が下がる)下のOIL先物はこのレジスタンスで止まる。そしてこれらの動きを見極めた上で4月末のFOMCは決定される・・。

(ランチタイム)
現在OIL先物は$110。ズバリここはこの3年間の相場で最重要ポイント。なぜなら、ここは2008年7月14日に付けた最高値 $143と、その後の安値 $55(2009年2月17日)のフィボナチ61.8だから。つまりここが抜けると、OIL先物は2008年の最高値まで目標がない。そしてその場合、OIL高のダメージと、株高による効果は逆転するだろう。そうなればFEDのQEが続けることは難しい。ならば逆にそうならない様に何か材料を出すかもしれない・・。

(モーニング)
どうやら米政府はあと36時間で一時中断する可能性が高い。週末でおわるかどうかだが、その場合金曜の株にはマイナス。 地震の影響でブレた相場だが、落ち着いたあとででは材料になるだろう。いずれにしても、債券はショートカバーかSTEEPが安全だろう・・。







2011年4月7日木曜日

総論賛成(財政削減)各論反対(ベネフィット削減)

震災後、日本で自民党が牙を失ったように、この2カ月存在感がなかったのが共和党。彼らは世界情勢によってリズムを失い、そんな中で「2012」が始まったので、仕方なく財政論議をぶり返している。ただ今の米国民は財政論議に興味がない。その証拠がTEAPARTYブームがどこかに行ってしまったこと。

もともと本気でTEAPARTYの本質に同調する人はこの国では少数派だった。今の米国では10の州で白人の児童生徒が少数派になり、2041年には米国全体の人口でも白人に代わりヒスパニックが最大になるといわれている。こんな状況で誰が大昔の白人の精神に同調するのか。

結局TEAPARTYブームは、金融危機後の救済から漏れた人々の怒りが捻じれた形で一時的に共和党の追い風にになっただけのこと。つまりプラカードを持ってオバマ批判をした大半は、清貧への覚悟を訴えたのではなく、自分への救済を要求していた。これがこの国の今の実情である。

そんな中で昨日ポールライアン議員は10年間で600兆円の財政削減を発表した。(米国の1年間の国家予算は300~400兆円)その中には老人・低所得者医療制度の大幅修正案も含まれる。

もともと米国民は財政削減には8割が賛成しているが、この医療制度など、既存の個々の案件になるとベネフィット削減に6割以上が反対している。つまりみんな総論賛成各論反対である。(この医療制度は昨年オバマ政権が達成した国民健康保険制度とは別)

この国民をうまくリード度し、2012年を有利に進めたい民主党とオバマ政権。このままでは彼らのペースだが、クリントンにも同様の緊縮を迫り、国民の支持を失った96年の失敗を怖がり何も出来ないベテラン議員をしり目に、ライアン氏を筆頭に若手の共和党議員は補正予算を組ませず、政府機能の停止を辞さない構えである。

ではこれで株や債券に影響が出るのか。個人的にはそれなりの影響はあとみる。共和党が意地を張れば債券にはプラスで株にはマイナス。ただ共和党が補正予算と国債発行額の上限を引き上げを認めなければ、市場では一時的米国債の利払いが滞るリスクが取りざたされよう・・。

(写真はポールライアン氏、彼は共和党の起点であるウイスコンシン州出身の下院議員。トップガンと言われる40代前半の共和党急進派)


2011年4月6日水曜日

インフレ容認惑星

4月は日本にとって大切な月。寒さが和らぎ、桜は喧騒さえ包む。一方、あまり注目されないが、米国でも4月はそれなりに重要だ。夏の甲子園の熱狂に近いカレッジバスケットが終わり、米国に春を告げるのはベースボールである。

やはりこの国でベースボールは特別。そのせいか、シーズンが始まった今週は相場でも関心事が移った。株は海外要因から国内要因へ、トヨタ日産ホンダが売られGMフォードが買われた。要は日本の復興期待買い一辺倒から「日本メーカー売りVS日本ライバル買い」のスプレッドが始まったのである。

一方債券市場では、中央銀行内でバーナンキ議長とNYのダッドレー総裁といったハト派(金融緩和維持)の巻き返しがあり、そんな米国を観て、欧州のエコノミストは「米国の金融政策は別の惑星の話のようだ」という表現を用いた。

彼が別の惑星」という表現を用いたのは、インフレという緩和政策の弊害を明確に悪とした世界と、ソレを善とする二つの世界が同じ地球に共存するという皮肉である。

ならば市場ではスプレッドで対応するしかない。ただそれは、これまで我々が慣れてきた地球上で圧倒的に力のあった米国に他国が引き寄せられるconvergence(収斂)から、これからは他が米国から離れていくdetergency(乖離) だろう。

ところで今週は正式にオバマの2012年への再選が始動した。ヒラリーの支持率は68%と過去最高になる中、オバマの支持率はデッドクロス寸前である。そしてオバマの再選は前回オバマを支えた無党派へのアプローチにかかっている。

今彼らはことさらオバマを非難しているわけではない。だが彼らが抱いたチェンジへの期待はあえなく消えた事には失望している。愚かしいブッシュのロジックは論外だが、彼の時代から始まった格差は金融危機を経てむしろ悪化に向かっている事には納得していない。

その根源である金融機関への憎悪が、ソーシャルメデイアを介して今後この国の無党派にどんな影響を及ぼすかが注目。まあ彼らが投票にすら行かなければ、コテコテの共和党と、要求だけの組合の組織票の戦い。そんな闘いはつまらないが、今のところその雰囲気だ。

そういえば、オバマはカダフィーを倒せず、彼を裏切った側近に対し、世界に先駆けてリビアの資金の封鎖を解いた。これで安心して他の側近がカダフィーを裏切り、もしかしたら次ぎの体制にも楔を打てるかもしれない思惑か。

今のこの政権では最善策とはいえ、インフレ容認惑星のこの国の政策からは、厳しさに立ち向かう熱い血と骨が消えていくのを感じる・・。

2011年4月1日金曜日

ロナルドレーガン、九死に一生のオーラ 


津波に襲われ亡くなった大多数の人の裏で、同じ津波の中で九死に一生を得た人もいると聞く。勝手な考えだが、相場を生業にする以上、そのような死の淵から生還された人だけが持つオーラがずっと欲しかった。だがソレは虚しい願望だった。ところで、30年前の昨日、3月30日に米国は震撼した。国家元首が狙撃されたのだ。だが肩から入った弾丸は心臓の手前で止まった。そして九死一生を得た男が米国の歴史を変えた。彼らの名はロナルドレーガン。今年は彼の生誕100周年であり、昨日は狙撃から30年目の節目だった。

偶然か否か、今日本に彼の名を冠した原子力空母が援軍に来ている。我々の世代まではレーガンを知っている。だが若い人が増えている今、今の米国を理解する上でもレーガンの事を知るのは必須だ。事実として、米国は現在「レーガン主義」真っ最中である。共和党は当然、民主党の政治家も彼に肖ろうと必死だ。ではレーガンがもたらした変化とは一体なんだ。それは簡単には説明できない。特集が必要である。それはこのブログでも近々する。

それはさておき、オーラを求める別の動きが今日のニューヨークタイムスで紹介された。銃弾で脳の一部を吹き飛ばされながら、一命を取り留め、現在必死にリハビリに励むギルフォード下院議員。まだ彼女は喋る事すら出来ない。だが既に彼女を上院選に担ぐ動きがアリゾナの民主党内に出ている。一見ギルフォード女史の偉大さを強調する美談。だが裏を返せば元々共和党が地盤のアリゾナで起死回生を図りたい民主党のエゴ。

一方日本は今「心から他人を思いやる」壮大な実験に挑んでいる。そして各国は様々な支援をしてくれている。ただ世界を相手に相場に挑む覚悟のある人には敢えて言おう。その裏には当然様々な各国の思惑がある。悪い言い方をすれば、今の日本は自国でできない実験をやっているのだ。参加したいのは当然である。そして日本はそんな事は承知で堂々と支援を受ければよい。大事なのは、彼らが去り、残された日本で今の思いやりモードが減退した時。その時が本当の日本の真価が問われる勝負。それを今から準備しておくことが国策のどこかにあってほしい・・。