2011年4月19日火曜日

喜劇のような悲劇 顧客レターから


格付け機関のS&P社がついに自国の国債にも格下げの黄色信号を出した。米国の格下げ警告は、やる勇気があるなら過去の実績からしてもムーデイ-ズではなくS&P社だろうと思っていたが、今日の金融市場はかなりの激震となった。だがこれは警告にすぎない。誰も本当に米国債が米国の格付け機関の手によって格下げになるとは思っていない。よって、株式市場ではすぐさま強気論が台頭していた。

だが引け後にCNBCに登場したPIMCOファンドのエルアリアン氏が言うように、S&P社の話が起こる前から今日の株先は下がっていた。そのトレンドを見逃すべきではない。そんな中で本日欧州市場ではまたクラブメド諸国(地中海のソブリンリスク諸国の総称)信用問題が途中まで話題になっていた。しかし、ギリシャはともかく、スペインは今それどころではないだろう。なぜならこの3週間の間にスペインではバルセロナとレアルマドリッドが4回戦う。(リーグ戦、国王杯決勝、チャンピオンズリーグ)これは多くのスペイン人にとって一生に一度あるかないかの出来事。ワールドカップよりも重要だ。ならば民衆レベルでは誰も市場など気にしていないはず。

このように、金余りの金融市場は各国の材料で右往左往している。だがスペイン然り、当事国の中には金融市場からどう見られるかなど無頓着の国もあろう。実は日本もそのような泰然さがほしい。その意味で紹介したいのは、日本が今未曾有の国難にあるのは誰の目にも明らかだが、見た目は国難に見えなくても、実は日本以上の国難に面している国はたくさんあるということ。

例えば米国では、2008年、ベアスターンの最後経営者で、同社が倒産した日に呑気にゴルフをしていたケイン氏はいまだにプラザホテルの28億のアパートに住み、また、AIGでCDS引き受けの陣頭指揮を執ったカッサーノ氏は100億円のサーベイランスを返さず、そして、畑違いのGMからやってきてはメリルが食中毒になっているのを全くわからなかったオニール元CEOは300億の退職金を減らされていない(NYTIMES)。そんな中で庶民は4ドル超えたガソリンに頭をかかえている。

では政治家はこの米国を元に戻す力あるかと言えば、2012年の大統領選の共和党候補者をみると、ロムニーを除き、今名前が挙がっているのは サラペイリン、ミッシェルバークマン、ギングリッチ、ロンポール、そこに加えてドナルドトランプなど、まるでジョークのような顔ぶれ。ロムニーとてとても共和党の本流ではない。これは、民主党選挙対策本部のジェニファーオマリー女史が、「もし彼が出れば民主党にとって脅威になる」と唯一警戒していたジョンスーンが出馬をやめた事で、このままでは選挙そのものがコメデイなってしまう錯覚を覚える。

これなら常識的にはオバマ政権は続くと今は考えるべき。万が一不測の事態になったら、居眠りをしていたバイデン副大統領の登場。これでは再びヒラリーが取りざたされてもおかしくないが、いずれにしても、どの道「金融」は安泰のシナリオではないか。だが本当はこんな時こそサプライズを意識しなければならない。その材料が以下の二つのWEB。ともに金融の仕事をしているなら必読。これを読めばGDPは国家の健全性とは無関係なのがわかる。

上段のローリングストーンは先週紹介した金融に支配され常軌を逸した今の米国の話。そして下段のエコノミストはその金融の魔力を恐れるあまり、極貧からビジネスを興し、資産300億円のドリームを成し遂げた若い女性経営者を死刑にしようとしている中国共産党の話。これを観る限り、米国は本当は日本以上の国難に瀕していると感じる。そしてその意味を分からなくなっているこの国は哀れだ。

何度も言うが、この二つの国はGDPとやらが今日本より上。だがそんな事は関係なく、また~主義などとの概念にとらわれず、新しい価値観を日本が築くことができるかどうか。本当に頭が良い日本人は今こそ集結し知恵を出せ・・。

<ローリングストーン>

http://www.rollingstone.com/politics/news/the-real-housewives-of-wall-street-look-whos-cashing-in-on-the-bailout-20110411

<エコノミスト>

http://www.economist.com/node/18560729







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