2011年4月29日金曜日

ライセンスto スぺキュレート(投機の許可証)

LICENSE TO SPECULATE ・・直訳すれば「投機の許可証」。この言葉はヘッジファンドの間では既に一般化されていたが、CNBCによると、昨日のバーナンケスピーチを受け、今朝、ヘッジファンドのガートマン氏が改めて強調したという。(恐らくガートマンレターで)。彼がこの表現を用いた事は、時代がFED議長の救済を好意的に揶揄した「グリーンスパンプット」や「バーナンケプット」を越え、本当はとてつもなく恐ろしい時代に入った事を示唆する・・。

ところで、~許可証と言えば思い出すのは「殺しの許可証」。つまりスパイの世界。その象徴のCIAで本日青天の霹靂の人事異動があった。ゲーツ国防長官の退任に伴い、現長官のパネッタ氏が国防長官に就任し、後任に現アフガン方面の米軍最高司令官ぺテレウス将軍が就任するというのだ。ぺテレウス将軍はウェストポイントを卒業後プリンストンで国際関係のPhDをとった超エリートの米国人。次期大統領候補者の有力な一人だ。二度のイラク戦争に従事し、戦争終結が宣言された2006年は米軍司指令長官だった。そして同時期にアフガン方面を率いていたマカリスタ長官が不祥事で退任すると(オバマとの不仲を雑誌にリーク)そのあとを引き継いだ。

その将軍をオバマはなんとスパイ組織のトップにするという。軍とスパイ、国防を司るのは同じ。だが組織のDNAは異なる。巨大組織の軍隊は序列主義、一方でCIAは専門家者集団。そしてあのパパブッシュがCIA長官を務めた経歴があまり彼に味方しなかった様に、CIAのイメージは野心的な政治家にはこれまで歓迎されなかった。その点を含め、この人事が配下の人々にとっても青天の霹靂であることを今日のNYタイムスとWポストはバーナンケのスピーチよりもはるかに重要に扱っている。

この事からオバマ政権の新戦略が窺える。まず先月発表された予算からも然り、国防においてこの政権は巨大な軍隊を動かす事態を最早想定していない。一方今パキスタンやリビアで暗躍するCIAの数を見ても、国防主役は諜報などのインサイダーワークと考えている。

この変化は米国らしく時代に対応しているといえる一方、この政権の持つ影の部分も強調している。オバマのイメージの下に隠れるこの政権の影は何度も触れてきたが、CIAと軍の違いは真に「殺しの許可証」の差だ。国際法に準じ堂々と戦う軍と、人ごみの中で消されても判らないCIA。息子ブッシュは影が無さ過ぎて迷惑だったが、この将軍をこんな組織に据えるなど、オバマの顔が少しずつどす黒くなってきていることにオバマ自身は気づいているのだろうか・・。




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