2011年4月6日水曜日

インフレ容認惑星

4月は日本にとって大切な月。寒さが和らぎ、桜は喧騒さえ包む。一方、あまり注目されないが、米国でも4月はそれなりに重要だ。夏の甲子園の熱狂に近いカレッジバスケットが終わり、米国に春を告げるのはベースボールである。

やはりこの国でベースボールは特別。そのせいか、シーズンが始まった今週は相場でも関心事が移った。株は海外要因から国内要因へ、トヨタ日産ホンダが売られGMフォードが買われた。要は日本の復興期待買い一辺倒から「日本メーカー売りVS日本ライバル買い」のスプレッドが始まったのである。

一方債券市場では、中央銀行内でバーナンキ議長とNYのダッドレー総裁といったハト派(金融緩和維持)の巻き返しがあり、そんな米国を観て、欧州のエコノミストは「米国の金融政策は別の惑星の話のようだ」という表現を用いた。

彼が別の惑星」という表現を用いたのは、インフレという緩和政策の弊害を明確に悪とした世界と、ソレを善とする二つの世界が同じ地球に共存するという皮肉である。

ならば市場ではスプレッドで対応するしかない。ただそれは、これまで我々が慣れてきた地球上で圧倒的に力のあった米国に他国が引き寄せられるconvergence(収斂)から、これからは他が米国から離れていくdetergency(乖離) だろう。

ところで今週は正式にオバマの2012年への再選が始動した。ヒラリーの支持率は68%と過去最高になる中、オバマの支持率はデッドクロス寸前である。そしてオバマの再選は前回オバマを支えた無党派へのアプローチにかかっている。

今彼らはことさらオバマを非難しているわけではない。だが彼らが抱いたチェンジへの期待はあえなく消えた事には失望している。愚かしいブッシュのロジックは論外だが、彼の時代から始まった格差は金融危機を経てむしろ悪化に向かっている事には納得していない。

その根源である金融機関への憎悪が、ソーシャルメデイアを介して今後この国の無党派にどんな影響を及ぼすかが注目。まあ彼らが投票にすら行かなければ、コテコテの共和党と、要求だけの組合の組織票の戦い。そんな闘いはつまらないが、今のところその雰囲気だ。

そういえば、オバマはカダフィーを倒せず、彼を裏切った側近に対し、世界に先駆けてリビアの資金の封鎖を解いた。これで安心して他の側近がカダフィーを裏切り、もしかしたら次ぎの体制にも楔を打てるかもしれない思惑か。

今のこの政権では最善策とはいえ、インフレ容認惑星のこの国の政策からは、厳しさに立ち向かう熱い血と骨が消えていくのを感じる・・。

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