2009年2月10日火曜日

転換と帰結の法則

週末シカゴは暖かかった。この冬は雪が多く、クリスマスのずっと前からシカゴは白一色だった。そしてそれは極寒の市場と世界経済を象徴するかの様でもあった。しかしそれでも「春は必ず来る」事を実感したのがこの週末である。やはり自然の力はすごい・・。

さて、大勢が職を失う中で普通の人がごく普通に振りこみ詐欺グループに落ちぶれていく・・。そんな中で若者に職業を問うと「仕事は詐欺」と答える若者がいるという。昨日NHKのニュースでは都内の有名大学からメーカーに就職、ホリエモンの時代にリストラで会社を離れてみると、そこには簡単に金を稼げない人間は無能者の烙印を押される世界があったと回顧する男性の話を紹介していた。その男性は振り込み詐欺軍団を組織して荒稼ぎ、今は刑期を終えて出所し過去を振り返っていた。

そう言えば昨年米国NBCのブラインウイリアムス氏がある大学での講演で「我々の時代に米国をこんな国にしてしまって君たち若者に申し訳ない」と謝罪した事を思いだした。彼は私と同世代である。米国を代表するジャーナリストと自分を比べる気はないが親としては同じ気持ちだ。そしてこの20年金融の世界に身を置いた立場からすれば、マードフや波会長ではないが、冷戦後の金融膨張期において金融で金儲けをしたいという願望の中では善悪の線引きは非常に難しかったと言わざるを得ない。

そもそも高度化する金融を管理する規制や法律は古いまま。その中で巨額利益が当然だった金融プレーヤーが抱える弁護士軍団はいかにグレーを黒にしないかという方向性で仕事をしていたのは事実だ。要するに金融で儲けたヘッジファンド/PEとマードフ/波会長を分けたのは法律をどのように逃れたかという手腕である。人としてのモラルや方向性の違いではない。ただそれが金融の本質でもある。

その金融業は80年代にはGDPの15%程度だったがそれが野放しとなった2007年には40%にまで達していた事を考えると、世界がどう変化したかを振り返るは簡単だ。そしてそれ主導した米国モデルが頓挫した。ただ米国には常に国家として明確な目標がある。それは覇権国家体制の死守。この共通の目的のためには米国はいつでも団結できる。問題は日本だ。なぜなら国家として目指すべき方向性が定まっていない。漠然と世界第2位と言われるGDPの世界があるだけ。ただ戦後60年の繁栄が米国の都合と日本人の気質がうまく機能した結果だったとするなら、その繁栄の貯金が最後米国に捧げられるの本当は望ましい事かもしれない。なぜならそれで一つの時代が終わる。

そして金融(相場)を学んで良かった事もある。それは歴史(世の中)には相場同様の「転換と帰結という自然の力」が備わっているという実感である。米国ではその昔最悪の指導者と言われたブキャナンの後にリンカーンが現れた。そして今、同じ希望の下でブッシュの後にオバマが登場した。そして日本。日本の戦後史は吉田茂が指導した「サンフランシスコ講和条約」に始まった。そして今、孫の麻生総理がこの時代の象徴である自民党に引導を渡す。これで「転換と帰結の法則」が私の中では完了する。

麻生氏が総理になったのは偶然ではない。それはの歴史の法則、自然の力だと考える。そしてそれは希望。私ならこの希望を今の日本の若者に示したい・・。


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