2009年2月18日水曜日

いつか来た道

きちんと税金や住宅ローンを払っている個人業者からすれば、金融や自動車などの大会社は最早「みんなで渡れば怖くない」という大きな流れの中で体裁のいい言い逃れを探しているにすぎず、また住宅がフォークロージャー(強制退去)の危機にある多くの個人は自分の収入からの限度をはるかに上回る住宅を購入した顛末を今は世の中のせいにしている。

認識では日本はバブル崩壊後から皆で助け合いながら細々と生き残る道を探した。その縮小均衡の中でこそ生まれたアイデアやビジネスもあった。結果成長は抑えられた。だが人間社会としての矜持が残った。ところが最近まで米国は当時の日本をゾンビ(死んだはずの人間が怪物に変化したもの)とよんだ。しかし米国と日本のどちらが本当はゾンビ国家なのか最早議論の余地はない。そしてGM救済や本日発表されるフォークロージャー救済案はこの国に残った人間を次々にゾンビに変えていくだろう。

ところで、煮詰まったところで事が起これば次のパターンは限定される。しかしその結論に到達するまでの時間がそれぞれの国で異なるようだ。欧州は「国有化」を受け入れるまでの過程は早かった。しかし米国は良くも悪くもデモクラシーのフィルターを通さなければならない。だから相場で儲けるチャンスがある訳だが、その米国でも紆余曲折を経てやっと金融機関の国有化への地ならし整いつつある。

いずれにしても「事」が起きた時点で残されたパターンは二つだった。ソーシャリズム(社会主義体制)かリセット(仕切り直し)。ただ自然と調和した縮小均衡を受け入れる理想的なリセットは消費にどっぷりつかって精神面が劣化した米国人には痛みだ。彼らにそれは無理。しかし理想的ではないリセットには「強引な破壊」がともなう。それも困る。結局一旦ソーシャリズムを受け入れるしかない。しかし、その過程で必ず不公平感から社会不安が生まれる。この後オバマ政権はこのステージに入るだろう・・。

そしてこの政権が強引なら体制を維持するためにナショナリズムの高揚政策をとるかもしれない。保護主義などはまだやさしい。結果「強引な破壊」がその後で起こる可能性が残されている・・。

このシナリオは避けたい。 



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