2010年1月23日土曜日

命の覚悟、救済から規制へ

既に相場は動いてしまったが、それだけ昨日オバマの記者会見は重要だった。そして昨年3月の株高への転機となったオバマの記者会見を「南極」とするなら、この会見は「北極」となろう・・。

まずその3月では事前にサマーズの動きが活発になった。彼はクリントン政権で財務長官を務めた重鎮だ。そしてそれまで就任したばかりのオバマは危機の元凶となった金融機関に対して厳しい態度を取っていたが、サマーズが経済政策の前面に出てくると同時に金融機関に対する態度は緩んだ。これは金融機関に対して厳しい態度を続ける事で株安が放置されると、オバマ政権がカーター政権の二の舞になる事を心配した民主党実力者の意向が反映されたからだろう。そして狙い通り株はそのまま上昇軌道に乗った。ソレが2009年までである。ところが、株高は政権と民主党に全く味方をしなかった。それが証明されたのがバージニアとNJの知事選と一昨日のマサチューセッツの上院選挙である。(マサチューセッツ上院選は民主党候補が敗北)

これを受け共和党陣営は健康保険法案を攻撃、民主党の「大きな政府」は間違っていると攻勢を強めた。だがオバマ政権は健康保険案が選挙での敗因だとは思っていない。事実そうではない。敗因は株高を達成しても、それが全く雇用回復に結びつかず、寧ろ金融機関の高給を復活させただけに終わった事実に国民が怒ったと考えたのである。そしてその結果を受けオバマは覚悟を決めた。その意思の表れが昨日の金融機関の業務を限定する記者会見である。この会見でオバマはこれまでにない強い口調で金融機関に警告を発した。

「IF THESE FOLKS WANTS A FIGHT, IT IS A FIGHT I AM READY TO HAVE」(今度逆らってきたらこちらにも覚悟がある。だから金融機関はそのつもりでいろ・・)

こんな表現をしたオバマは初めてだ。そしてその横に立っていたのはサマーズではなくあのボルカー。彼はカーター/レーガン政権下のFRB長官。オイルショック後のインフレを短期金利を20%まで引き上げる強硬手段で退治した。そして3月の「南極会見」を演出したのがサマーズなら、今日の「北極会見」を演出したのはボルカー陣営。即ち今日はWS寄りの株高戦略を演出したサマーズ/ガイトナーから、オバマ政権内の経済政策チームの軸がボルカー陣営にが移行した記念日となろう。ただ一つ気になる事がある。

あまり知られていないが、暗殺されたリンカーンとケネデイーには共通の敵がいた。それは当時の金融カルテルである。リンカーンの時代は古すぎるが、ケネデイーには他にもあまりにも多くの敵がいた。従って暗殺の背景に金融機関の名前が挙がる事はない。だが彼はFED(中央銀行)から紙幣発行機能を取り上げ、ソレを国家のもとに置こうとした(財務省発行の国家紙幣)。そしてそれを大統領として最初に断行したのがリンカーンである。そしてその時の財務省紙幣の裏側が緑色だった事が現在の米ドル紙幣をグリーンバックという呼ぶ所以。だが今の紙幣はFEDが発行している。よってグリーンバックの真の意味からは「偽物」である。ケネデイーはそれを本物に戻そうとした直後に暗殺された。いずれにしても、これだけの事を言い放ったオバマは、本気なら命を掛ける覚悟がいるだろう。



0 件のコメント: