2010年1月29日金曜日

魁皇に学べ

スイスという国はやはり食えない。ダボス会議のタイミングを狙っていたのだろう。或いは参加者にUBSの顧客がいるのかもしれない。いずれにしてもスイスはこのタイミングで米国と約束したスイスの銀行に隠し口座を持つ米国人の名前の公表を一方的に延期した。

日本もこのスイスの様な腹黒さが必要だ。そしてその日本では立花隆が「政治と金」で小沢バッシングをしている。彼の場合大昔に田中角栄を追い込んだレポートで名を挙げた事が忘れらないのだろう。だが、ならばこの米国で先週起こった最高裁の判決について、米国の属国に甘んじる日本がその米国に対してどう対処すべきか。彼がジャーナリストならそれも小沢批判と同時に展開すべきだ。

日本では報道されていないが、21日米国最高裁は65年前に制定された大企業が選挙に献金出来る金額の上限を定めた法案の撤廃を5対4で可決した。米国では金が政治を決める事を最高裁が認めたのだ。この判決に大統領と民主党は激怒。オバマは大統領令で対抗する姿勢を見せた。そしてこのムードが昨日の一般教書演説ではそのまま出てしまった。

昨日の演説では通例従い大統領に向い左側に民主党、右側に共和党が陣取る構図。そして大統領を雛段とするなら、主賓席のド真ん中には最高裁判事の9人が座っていた。そしてオバマは眼下の彼等に向かい、間接的表現ながら先の判決を批判するスピーチをした。その瞬間湧きたつ民主党と横で呆然とする判事。最高裁の判事という名誉職にある彼等がこの様な扱いをされた事があるだろうか。

日本ではこの一般教書でも民主党と共和党の対立の構図ばかりが取り上げられた様だが、実はこの光景が一番異様だった。そしてその一般教書全体ではだらっと座ったままのクリスドットや共和党メディアに大あくびの瞬間を取られたハーリーリード等、バーナンケの承認票獲得にかけずり回った民主党上院の重鎮の疲れが今のこの党の状況を物語っていた。

ただ小沢幹事長の隣でいつも居眠りをしている姿をTV等で取られても国会議員を続けられる羽田元総理の様な存在はこの国にはいない。下院議員には2年毎の改選が待っている。そして勢いを増すと勝手に考える共和党だが、激震のマサチューセッツでも民主党候補を否定した州民の75%は共和党の政策には賛同してはいない事が判明した。同様に、日本では鳩山政権の支持率が落ちているが、だからといって自民党が支持されているとも思えない。

ところで朝日新聞のWEBでは、オバマはその一般教書演説で中国やドイツを競争相手としてを挙げたが、日本の名前が出なかった事を「存在感が薄れた」とトンチンカンな解説で論評している。そもそもオバマがドイツを取り上げたのは、民主党と同じ環境への取り組みをしているドイツを誇張したもの。存在感とは全く無縁の脈絡だ。

そして同じ朝日のWEBコラムは小沢問題を女性誌と同じ視点で取り上げている。政治はクリーン、でも経済は米国の競争相手・・とは、最早FOX化した読売を別としても、日本の代表的新聞がここまで非現実的なアプローチでいいのだろうか。

そもそも目立つという事が好いとは限らない。そのよい例が魁皇。魁皇が千代富士の大記録を抜けたのは彼が大関だったからだ。もしまかり間違ってどこかで横綱になっていたら彼は千代の富士に並ぶ事はなかっただろう。なぜなら横綱は9勝6敗を続ける事は出来ない。大記録の前に引退を迫られる。彼の実力では大関だった事が大記録に繋がったのだろう。

そんな中で日本は今年はGDPで3位になるという。これは悪い事ではない。中国を競争相手として意識しなくてよい。古来からの歴史に照れせばこれで日中関係は正常に戻り、アメリカから変な脅しを受けなくて済むかもしれない。しかし居心地の良い3位に留まるためにはそれはそれでその為の戦略が必要。無策では3位からも滑り落ちる。その意味では日本最大の新聞のコラムがこの程度である事はお寒い・・。




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