2009年1月8日木曜日

諸行無常

あまり話題になっていないがまだ市場主義を信じる人には悪いニュースがある。実は昨年の11月の米国の総選挙の結果がまだ決まっていないレースが一つある。それはミネソタ州の上院選出レースだ。有効投票数300万弱に対し、二人の候補の得票差数が200票という稀に見る接戦となり、先日まで延々リカウント(再集計)を続けてきた。そして年末ついに民主党の新人が僅差で共和党の現職を破った事を選管が正式に決定した。しかし敗れた共和党現職が裁判を起こし、昨日から始まったワシントンでの本会議上の議席は空席のままである。

そして空席はもう一つある。それはイリノイのオバマの後任の席だ。渦中の現職州知事が任命した黒人議員は昨日議会まで登庁した。しかし上院幹部によってドアが閉められ、中に入れてもらえなかった。無論これもポーズである。民主党上院幹部は、一度逮捕され、批判を浴びても未だに辞任しない州知事が任命したこの議員をそのまま受けいる事が出来ず、昨日はこの様な政治的なパーフォーマンスを強いられたのである。しかし本日は態度が変わりこの議員そのまま受けいる方向に傾いている。

実は今の米国議会などはこの程度である。建国の父たちが命がけで政争をした黎明期の議会は遠い昔の話だ。民主党が議会を支配する様になり、あの金融法案も、またBIG3救済法案(不成立)も最後まで反対したのは共和党保守派のみ。今彼らは孤立無援状態である。そして市場主義者にとっての悪いニュースとはオバマの後任が誰になっても民主党である事は変らず、ミネソタがこのまま民主党候補を輩出すると上院の勢力図が次のようになる事だ。 民主党59 共和党40 中立1。そしてこの中立1は以前は民主党だったリーバーマンだ。(リーバーマン氏は2000年、ゴアが大統領候だった時の副大統領候補であるリーバーマンは前々回の選挙で民主党の公認を取り損ね無党派になった。そして彼は外交はマケインの盟友としてタカ派。)一方内政は生粋の民主党である。要するに、仮に彼が経済や貿易などの法案で民主党と足並みを揃えると、上院は民主党によるフィルバスター(牛歩)阻止が完成する。(60票)

上院でフィルバスター(牛歩)阻止の布陣が完成したのは1977年以来。ただ当時のカーター政権は盤石とはいえず、下院も今ほど民主党色が強烈ではなかった。しかし時代は変わった。今は最強の布陣のオバマ民主党政権を、ナンシー率いる圧倒的民主党色の下院と、共和党にとって最後の抵抗手段のフィルバスターすらできない可能性が高い上院が囲む。ついに、米国史上最強の民主党国家の誕生である。しかしどうだろう。 まるで「平家(民主党)にあらんずんば人にあらず。」の米国。だが盛者必衰か。近々諸行無常の時代を迎えるだろう。

(諸行無常;この世の現実存在はすべて、すがたも本質も常に流動変化するものであり、一瞬といえども存在は同一性を保持することができないことをいう。 WIKIPEDIAより)

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