2009年1月21日水曜日

<今日の視点>去りゆく例外大統領

米国の公立小中学校は歴代の大統領の名前がついた学校が多い。我が家の子供たちがシカゴとNYで通った小中学校の名前にはルーズベルト、リンカーン、ワシントン、ジェファーソンなどの名前がついていた。また学校以外にも公共の道路でも大統領の名前がつく事がある。シカゴのダウンタウンの中心部を東西に走るストリート名はほとんどが大統領の名前だ。ただ違いは学校の名前には優れた大統領の名前がつくのに対し、道路は歴代の大統領が順を追ってつけられる事がある。従って必ずしも名大統領とは限らない。例えばこのCBOTをはさんで北に向かうストリートには順にジャクソンからワシントンまで人気がある大統領の名前の通りが多い。しかし南に向かうとそこにはバンビュラン ハリソン、テイラーなどの人気のない大統領の名前を付けた通りになる。そしてどういうわけかその辺りは北に比べ治安が悪くなる。

さて大統領就任式の本日米国はオバマ一色である。だが敢えて去りゆく大統領のブッシュにもう一度注目したい。このブッシュが今後どのような評価になるかは彼が答えた通り歴史の判断だろう。だがデモークラシーの国米国はこの大統領に対してここ数年は20~30%の支持率しか与えなかった。そしてTIMESが評価したこのブッシュ大統領の評価は歴代43人の大統領の中で37位、ワースト10である。TIMESの判断基準はMEDIAとしての自己責任というより、過去何十年に渡り行われた民間の投票を総合したものだ。よって直近まで大統領だったブッシュが37位に位置するのは将来の伸びしろもあるが逆に過去どんな統計でも常に断トツで最悪の大統領の汚名を着せられてきたブキャナンを将来抜く可能性を秘めるのである。

ところでこの歴代ベスト10とワースト10の大統領を比べて気がつくのは彼らの任期である。彼らの任期はその善し悪しはともかく米国のデモクラシーが機能していた事をが明確に物語る。ベストテンは上位はリンカーン、ワシントン、ジェファーソンのトップ3に中位群は二人のルーズベルトとアイゼンハワーで構成され、ここまでは定番だ。残りの4席はトルーマン、レーガン、ポルク、ウィルソン、ケネデイー、ジャクソン、ジョンソンなどが入れ替わる。そして彼らに共通するのは暗殺されたケネデイーとコレラで体を壊し引退したポルクをのぞくと全員が再選を果たしている事である。対してブキャナンを筆頭にワースト10の大統領は二つの例外を除いて全員が再選に失敗しているか、或いは4年の任期さえ全うできていない。ただ例外の一人はニクソンである。彼は現代において人気はブキャナンよりも低い。だが識者が純粋に国益に貢献した大統領を挙げると彼はベスト10に入る事もある。従って評価が難しい男。その意味では本当の例外がGWブッシュである。彼は真に8年の任期を全うしながらワースト10に入るという米国史上で初めての大統領だ。一体これは何を意味するか。それは米国が建国以来受け継いできたデモクラシーの機能の退化であり、言い換えるとそれは米国民自身の劣化とも繋がっているとみる。

ただ米国という国を一つのサンプルとして考えると、自分たちが評価しなかった大統領を8年間も大統領の職につかせた責任は重く、その傷は限りなく深いものになった。これ程の失敗例は自分が知る限り米国史上で初めてであり、この傷の深さは経済システム上の金融危機などという狭義で考える話ではない。ただだからこそ神はオバマという存在を送り出したのかもしれない。最悪だったブキャナンの直後に最高とされるリンカーンが生まれた様に、仮に近い将来にブッシュがそのブキャナンを蹴落としても今度はオバマがリンカーンを上回る事でこの米国は復活する。はたしてこの方程式は実現可能か。実現しないとこの国には悲惨な運命が待っているだろう・・。



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