今年の大学入試センター試験では再び英語のリスニングテストで器具の不具合があったという。そもそも私は受験反対派ではない。過去を振り返っても、自分の場合はごく短い期間だったが集中力を養う上でも必死に勉強したあの時は無駄ではなかった。だが社会人になって20余年、米国で暮らして15年の経験から大学入試のためのセンター試験で英語のリスニングのテストをする意味が全く分からない。科挙的な案記力はそれはそれで重要。ただそれ以外の能力を試したいなら、他にいくらでもあるはずだ。
ところで米国では遂に金融経済の基盤が崩壊したが、同時に揺らぎ始めたモノの一つにハーバードのMBAの権威があげられる。まずハーバード大学基金の1兆円前後の大損はこちらでも話題。そして建国より古い歴史のハーバード全体の権威がこのまま落ちぶれるとは思えないものの、MBAはあのブッシュが卒業した事実から違和感があり、また卒業生を代表して最近まで煌めいていたGEのイメルト会長、JPモルガンのダイモン会長、そして何と言っても自分の部屋を1億円で飾ったメリルのサイン会長らがこぞって輝きを失いつつあるのは偶然だろうか。いずれにしてもハーバードのMBAとそこで教えられる教義も金融と同時に曲がり角を迎えているようだ・・。
さて、日米の教育の比較する上で無視できないモノがもう一つある。それは各種免許の年齢条件だ。例えば大統領就任式にも急きょ招待された英雄といえばハドソン川への緊急着陸を成功させたUSエアーのあの機長さん。彼の経歴を見て気づいた。なんと彼は14歳で小型飛行機の免許を獲得していた。確かにIL州も小型飛行機の免許は14歳から取得可能である。まだ声変わりもしていない長男の同級生も先日取得したと聞く。では自動車の免許が16歳でなぜ飛行機の免許取得が14歳から可能なのか、この感覚は日本人の生活習慣からは絶対に分からないだろう。ただあの機長のNY上空での判断力は軍隊とそして14歳の頃から空を飛んで体得したモノである事は間違いない。言い換えるなら、平時の一般的教育はトレンドがあって当然、しかしいざという時の判断力はやはり学校では教えてくれないモノなのかもしれない・・。
そしてこれからの日本の学校教育について一言。小中高で英語のリスニング環境を整える必要はない。しかし彼らが大人になって相手にする人間像がグローバルに性悪説を展開する欧米人である事を前提に、古来の日本的道徳を守りながら同時に対局としての「駆け引き講座」があってもよいと考える。欧米社会におけるこの講座の必要性はリスニング力よりも大きい事は実感している。そう言えば先日NHKで放映された「その時歴史が動いた」ではあの岩倉使節団が米国から英国に渡ったところで英国人銀行家の訪問を受け、そこで銀行の仕組みを教わりながら、彼の銀行に誕生まもない明治国家から持ち出した当座の旅費を勧められるまま預金した話が紹介されていた。彼らは言われるまま現在価値に直して5億円を預金。ところが数日してその銀行は倒産してしまった。NHKの語りは「岩倉使節団は途方に暮れながらも金融の仕組み肌で感じた」などと悠長な解説だったが今の現実はこうはいかない。日本人が世界で生き残るための勉強とは何か。まずはポーカーでも教えてみるのも面白いかもしれない。
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