2009年1月13日火曜日

<今日の視点>天下は金の回りモノ・・。必殺仕事人

社会人1年目、証券営業での最初の顧客は駅前の金貸し屋だった。「~商事」の看板。いかにもそれらしい雑居ビル。恐る恐る飛び込んでみるとサングラスをかけた初老の男性に睨まれた。「どちらさん~」。それが最初だった。結局その後の5年間私はこの人の世話になった。仕事に息詰まると用もなく尋ねた。儲けさした訳ではない。だが、ゴルフクラブを貰い、柿安本店で本物の松坂牛の網焼きの味を教えてもらった。しかし究極的に何を教えてもらったかというと、それはマネーマスターの原理だ。即ち世の中にはお金を使う人と、お金に使われる人がいるという事だった。ところでこの週末は録画しておいた正月番組を見た。そこで感じたのはTV朝日の勢いである。以前も触れたが私はTVを見る時間が長い。ただ番組にのめりこむ前に数百あるケーブルTVのトレンドに注目する。同じ感覚で一見くだらない日本の正月番組を眺めると、昔ファンだった必殺シリーズが復活していた。そして番組の冒頭で次のような「語り」が入った。「金は天下の回り物、でも今の世は天下は金の回りモノ」。なるほど、確かに的を得ている。だからこの様な時代になるといわゆる朝日系列が目立ってくるのだろう。

いずれにしてもマネーマスターと呼ばれる人々は、その時代、人と金のどちらがどちらの下僕になるのかを先取りする事に長けている。そして米国では冒頭で社長の様な町金業者に強烈なライバルが登場した。それは究極のマネーマスター「FRB」である。では中央銀行が「街金」になるとはどういう事か。簡単に言うと金融システムの維持という錦の御旗の元、FEDは金融危機発生後から融資対象を商業銀行から証券会社に拡大、また担保として受け取る証券を国債からモーゲージ債、MMF(CP)、仕組み債まで掘り下げてきた。そしてそこまでは中央銀行による非常時の緊急処置として理解可能な範囲である。しかし、今年から始まったTALFというプログラムではその融資対象が米国籍の投資家まで広がった。要するに本当に認可されるかは別としても、論理上はFEDは金融機関ではない投資家、即ちヘッジファンドまで彼らの保有するトリプルAの債券を担保に資金を融通する事ができるのである。だとすると少しタイミングがずれていればFEDはNASDAQの会長まで務めた偽りの名門ファンド、あのマードフにまで資金を提供したかもしれないという仮説が成り立つのである。


さて、視点では以前から先進国で社会主義に転換する国がでるならそれは日本でも欧州でもなく米国であると主張してきた、理由は米国が多数決の民主主義国家である事。ブッシュ政策によって中間層が極端に消滅した社会を目の当たりすれば米国社会の右から左への大ブレは予想可能だった。そして今それは金融システムの在り方も大きく変えようとしている。この週末もオバマ政権は金融機関による「貸し渋り」を徹底的に取り締まるという表明をした。この環境では民間の金融機関なら貸し渋りは避けられない現象だ。しかし米国でも殆どの金融機関に国家の資金が入った。そして今、オバマ新政権による救済はこれまでの金融の常識を超えた新次元になる可能性がある。そこではその先頭を走るのがFED。ただこのFEDの変貌は「糸の切れた凧」なのか、或いは「コロンブスの卵」なのか私にはわからない。ただ確かななのはこれも民主主義の結果である。

最後にそもそも中央銀行制度は17世紀の終わりに英国で生まれた。そして今のFEDは日銀よりも歴史が浅い。しかしその中で最初に変貌していくのは米国の中央銀行ならそれはそれで米国らしい。だが個人的にはどうでもよい。共和党政権下の解りやすい不正に比べ、全体主義の民主党政権では見えない不正がはびこる。だがそれは救済という御旗があり大がかりすぎて普通は見えない。個人的感情ではこの不正もできれば「仕事人」に始末してもらいたい・・

0 件のコメント: