2009年1月28日水曜日

<今日の視点>一流の条件

昨日こちらで放送されたNHKのプロフェッシナルでは市場原理に真っ向から挑戦しているマグロの仲買人が紹介されていた。一体彼のどこが市場原理に反しているのか。そもそも仲買人はブロカーだ。即ち相場そのものである。仕事はいい商品を安く仕入れる、そこに市場原理が反映される。そして彼の特徴は競争相手が産地に気を取られて見向きもしない隠れた極上モノを探すことだという。ならばもしその商品を自分が安く仕入れる事が出来ればそれは本来相場師としては最高のロマンのはず、だが彼は敢えて其れをしないという・・。

そんな彼からは昨年ミシェランで星を得たすし店10店の内6店の店主がマグロを買っている。数寄屋橋次郎に代わり、そこから独立して今や日本で最高の呼び声が高い「水谷」の水谷八郎氏もその一人として登場していた。そして築地で他の仲買人が大間のマグロに群がっている時もこの主人公は独自の眼力で「掘り出し物」を探す。そして「掘り出し物」の地方産の極上マグロを競争者がいない時でも彼は高値で買う。しかしなぜそんな事をするのか。

彼曰く、「好い魚にはそれなりの値段をつける」それが彼のポリシーだという。そして彼は続けた、「好い魚にはそれなりの値段をつけないと、良い漁師がいなくなる。良いい漁師がいなくなれば、好い魚は入らない・・。」「それは結局仲買人の自分と、自分を信用してくれるお客さん(この場合は水谷氏などを指す)に跳ね返る・・」これが、彼のプロとしての理論であった。

ここまで市場原理に挑戦するのはそれはそれで別のロマンかもしれない。だが、このまま経済が更に収縮し末端の消費者が更に苦境に落ちいれば、恐らく彼も、水谷氏も、そして、良い漁師もいなくなるかもしれない。それが市場原理である。その結果、回転寿司には「アナゴとウミヘビ」「鯛とティラピア」の区別がつかない庶民がこれまで以上に押し寄せる。庶民はそれで満足であろうし最近の回転寿司は皆企業努力をしている。

ただ、そんな時がいつかは来るかもしれないのを覚悟の上で、彼らは孤高のロマンを追い続けていると個人的には考える。なぜなら最後は自分が本物を楽しめばよい。そしてそれが一流の条件、回転寿司とはやはりどこか違うはずだ。また本物が分かる人はいずれ再び彼らのまわりに集まるだろう。

最後に、本物だけが生き残る点では金融も同じだ。その淘汰は先に始まっている。最早ブロカーなど金融ではいらない。彼らの様な一流とまではいかないが、本物だけのサークルを求めてそろそろ自分もこの領域に挑戦する時が来たのかもしれない・・。


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