2009年1月18日日曜日

<今日の視点>バンカメの恥



朝から気分が悪い。政府に救済されたバンカメのルイス会長の弁明を聞き、同じ市場に生きる者として怒りを感じる。まず本日バンカメとCITIが同時に決算を発表した。それぞれ元々のスケジュールを変更しての決算発表には大統領就任式という一大イベント直前の米国の喧騒の中の中央突破の意味がある。言い換えると株式市場の決算に対する過度の反応を嫌いドサクサに紛れての発表だ。ただし、ここに至るまでに米国を代表する大企業の顛末としてはそれ相応の非難と屈辱を受けてきたCITIに対して、昨年の金融危機までは強気一辺倒だったルイス会長率いるバンカメは立場が違う。そして両者に対する政府の救済もモラルという点では異質なものである。

一言で言うとルイス会長は明らかに無謀な経営者だった。金融危機が時間の問題となる中で住宅市場は2年で回復すると叫んでカントリーワイドを買収、更にメリル買収の際も強気な態度を崩さなかった。一方のCITIは怪物ワンマン会長のワイル氏が去った時点で崩壊は時間の問題だった。無論その後の外部環境の変化に対応が遅れた経営陣は非難されるべきだろう。だが彼らにCITIの命運を変える術がなかったのは事実、その意味で彼らは無能かもしれないが無謀ではない。そして本日、ルイス会長が政府資金を請うた後で発した弁明は「市場の悪化の度合いは自分の予想をはるかに越えたものだった」である。そのバンカメに政府はドサクサに紛れて資金を提供、また保有資産の保障までつけた・・。


これでは米国債に投資する投資家はたまったものではない。ここまで無謀で相場感のない経営者とその会社を殆ど議論をしないまま救済する政府。株はブッシュが去る事で上昇し、更にこの政府の姿勢で有頂天にも上昇するだろう。そして一方の米国債は下がる。だが今起こっている事、そしてこれからもどんどん起こるであろうこれらの救済は判っていた事でもある。従ってこれからはこの米国に対して他国がどう付き合うかを見極めなければならない。個人的には市場で生きる弱者として怒りを禁じえない。ただこの怒りを緩和するために心情的には許し難い株を今は買うしかない。それが市場の宿命でもある。 

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