2010年2月4日木曜日

黒船の効果

日本は深夜だったからよかったが、「アメリカ人はもうトヨタ車に乗ってはいけない・・」。こんな言葉を米国の国土交通省のトップが言ったらどうなるか。想像するにそれは黒船来航時のショックがトヨタ関係者と日本政府に走ったに違いない。たださすがにこの表現は撤回され、「トヨタ車を運転する全ての米国人は今すぐ運転を止め修理せよ」に落ち着いた。しかし米国でのトヨタ騒動はついにここまで来た。

この言葉を吐いた国土交通省長官のレイフッド氏は豊田章男本社社長を米国まで呼び出すという。理由は日本で生産するプリウスまで問題が出た以上、一連のレクサスの問題を含め、トヨタ本体のトップを呼びつける必要があると判断したという事。ただそれは表向きの理由。裏には見せしめ的意味合いもある。そしてそれは日本政府と日本企業に対してだけのモノではなく、米国が衰退を始めたという現実からの警告でもある。

そもそもレイフッド氏はシカゴ近郊の工場地帯の下院議員出身。そこはビッグ3の影響下である。そして彼は元々は共和党でありながらオバマ政権入りした人物。そこに共和党特有の思い込みの激しさが加わったのだろう。だがさすがに冒頭の発言には政権内と共和党から政治的すぎるとの批判が出て訂正をした。ただこんなところにも余裕を失う米国がポピュリズムという荒波に揺れ動く現状がある。

ところで「黒船来航」では米国の威圧にすぐ屈服した幕府の情けない姿を見て攘夷論が生まれた。結果的に攘夷という反骨心が日本を変えた。トヨタの問題はトヨタ自身が解決するとして、行き過ぎた米国の反応には日本も応戦する必要がある。「トヨタは米国から撤退してでもアジアに注力せよ。そして日本はもう米国債を買うべきではない・・。」

まあ実行しなくてもよいが、亀井大臣あたりがこんな発言することを期待したい。今は小国スイスが金融問題で米国の圧力に屈しない姿勢をみせている。駆け引きを含めてソレが金融危機が一服したこれからの世界の予想される姿だ。そして、レイフットの様な人物によって日本が米国一辺倒の長い眠りから覚める事ができれば、それはそれで黒船来航と同じ効果があると言うものである・・。


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