2010年2月25日木曜日

勇者は語らず

NATIONAL TREASURE・・国の宝、NBCの取材に対し韓国の放送局はキムヨナをそう評した。韓国に動向したNYTIMESの記者も「英国における故ダイアナ妃以上の存在」と評したが、今晩韓国は建国以来の一大イベントを迎えるのではないか。そして日本人としては本来ならキムヨナの前に真央がトリプルアクセルを2回決めてプレッシャーを与えたかったところ。だがどうやら演技の順番もヨナに味方している。

ただヨナだけでなく、韓国の勢いは本物だ。それをまざまざと感じるのはこちらでの車と家電。日本人は韓国ブランドに手を出すのは最後。だが最早米国人にとって日韓の製品のクオリティーの差を挙げる人はほとんどいない。それどころか寧ろ「日本の製品には自分達が知らない問題があるかもしれない」と感じ始めた可能性が出てきたのがトヨタの米国社長の公聴会である。昨日の議会証言で明らかになったのは「日本企業は現地のトップに危機対応の権限を与えていない」という印象。そして今朝のNBCのワシントンからのリポートではトヨタ問題は日本という国が持つ閉鎖性が日本企業と日本の製品全般に影を落とする可能性を示唆する内容になっている。

この現状から思い出されるのが城山三郎の小説「勇者は語らず」だ。ご存じの方も多いはずだがこれは日系自動車メーカーとして初めて米国に進出したホンダを支えた中堅の部品工業の社長の情熱を扱った小説。寡黙で男気のある人物を扱う城山三郎の小説はビジネスの世界を目指す事を決めた頃読み漁った。その中でもこの小説は秀逸。当時の日本企業の魂と超大国米国が国内産業が斜陽を迎えても外国メーカーに対してフェアーであった懐の深さをまざまざと感じさせた。そして最後に本田総一郎が米国で死期が迫った主人公の病棟を訪ね、感謝の気持ちを述べるシーンがある。「勇者は語らず・・」今となっては懐かしいだけ。日本に奢りが出始めたと今、米国も嘗ての超大国としての懐の深さは消えた。



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