2010年2月13日土曜日

西洋文明の起点国家

昨日はワシントンポスト、そして今日はニューヨークタイムスが統計を出した。前者では米国民の75%が現政権に怒りを感じ、後者では同じく75%が議会に失望している事が判明した。要するに米国民は自分が選んだ大統領と国会議員を評価していない。だが民主政治とはポピュリズム。議員は選挙民の意向に沿ってきたはずだ。ではなぜ政治家だけが非難されるのか。本来は国民自身が己を非難すべきではないのか。確かに一部では「誰かに文句を言っているだけでなく、米国人として今何をすべきかを考える時」との知識人の意見を取り上げ始めた。ここは「金と政治」で国会が紛糾し、そしてマスコミはそれを煽っているだけにみえる日本とは違うところだ。

それにしてもあの熱狂したオバマ大統領の誕生から僅か1年である。この国民の怒りはなんだ。そういえば昨日緊急入院したクリントンは在職中個人としてはオバマの様な人気があったわけではない。だが当時の国民は彼の不倫を許した。理由は簡単、あの時は米国経済が頂点を迎えていた。経済はこんなに人を変える。そしてこの人間の性を長い歴史を持つ中国は知っている。中国は米国の老化やギリシャの困窮に関係なく淡々と金利を上げた。

中国は日本の事例を勉強したのだろう。バブル期の80年代後半から日本は世界から期待され、そして日本はその気になって勝負に出た。だが市場原理とは所詮「西欧式都合主義」だった。そのルールの上で転ろんでから日本は立ち上げれないままだ。中国はこの市場原理との付き合い方においてアジア人として先行した日本の失敗を勉強しているのだろう。また一旦動き出すと12億のエネルギーは途方もない。豊かになったあとの民主化の動きが時に政治体制のリスクに繋がる中国では景気の舵取りは冷やし気味の方が正しい選択だ。

いずれにしても西洋の相対的な力が衰えているのは確か。その西洋文明において国家破産の危機にあるギリシャは白人が優位性を感じる上で起点となった国家だ。(米国から遡って、英国、大航海時代、ローマ(イタリア)、ギリシャ) 元々米国の一般的な白人は中国の繁栄やモンゴルの栄華をあまり知らないが、彼等はギリシャがペルシャとの戦いを制し、そこから白人が地球を支配するのが正しい姿になったと信じている。だがそのギリシャの危機に加え現代の超大国米国が凋落を始めたならやはり我々は歴史の大転換点に立っているという事である。

ただ過去の事例をみても転換点は平和ではない。だが今は戦争の大義がなく戦場は経済である。その意味からもトヨタ問題はトヨタ自身に原因が内在したとしても、大局的に見れば技術立国日本とその象徴の企業が歴史の転換点で迎えた最初の試練である。そもそもトヨタの技術を支えた「報徳主義」(二宮金次郎の教えで初代豊田佐吉が家訓としたとされる)は西洋人には真似できない宗教の様なもの。そんな日本の会社にいつまでも国内市場を牛耳られたら困る。この様に焦り始めた米国にトヨタは絶好の攻撃のチャンスを与えてしまった。ソレを経済に困窮する米国人の気を引こうとマスコミが煽り、そこにGMを抱える政権が便乗した。

ところでトヨタ問題は米国史上で最大の集団訴訟になるとの見方がでている。現実となればリコールと並ぶ重荷だ。本日発表された資料によると、リコールに繋がった一連の欠陥が原因と思われる事故は800件余りあり、けが人が90人、そして死亡者が何と14人も出ているという。死亡者が14人?こんな話はこれまで全く聞いた事がない。一体どこからこんな数値を出してきたのか。マスコミは他社の統計を用意せず検証なしに一方的にこの数値だけ報道している。また訴訟は事故関係に留まらずトヨタの株主まで及ぶ模様だ。その株主の言い分とは、トヨタは欠陥車の事実を隠したた為、発覚後急激な株価下落に見舞われたというものである。

ここまででも明らかなように、最早これはトヨタだけの問題ではない。日本と日本企業がこれから更に敵対的になるであろう米国とどう付き合うかと問題である。そして中国とGOOGLEも然り、国家と他国の国家的企業がこれまでの蜜月を続けられる保証はない。大転換期での戦争はもう始まっているのだ・・。




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