息子のサッカーの試合で郊外の高校まで足を伸ばした。オヘア空港から更に30分程車で北西に行ったバーリントンという街だ。白人中心の街で、その街の公立高校のバーリントンハイスクールには、フットボールのスタジアムの横にサッカーコートが2面、更に野球場と陸上のトラック&フィールドが併設されている。
富裕層にこれだけの施設、毎年シカゴトリビューン紙が発表する、奨学金で大学に行く優秀な高校生がこの高校からも沢山出ているのは当然だ。ただあまりにも広く、敷地内で迷ってしまった。そこでクラブ活動で開いていた校内に入ってみた。すると廊下には見覚えのある男性の写真。ブッシュ政権下で財務長官だったポールソンだった・・。
彼が財務長官を引退した後、ワシントンの家を引き払い、家族が住むこの街に住んでいるのは知っていた。彼はこの街で珍しい爬虫類といっしょに暮らしている特集があったからだ。だがこの高校の出身だったのは知らなかった。
そんな中、今日のニューヨークタイムスには、彼が会長を務めたゴールドマンサックス(以下GS)は、2年一回、11月に発表される新パートナーの昇進と同時に、異例だが、今年は60人以上のパートナーから平社員への降格人事を発表するという記事があった。
GSのパートナーは現在380人前後。社員の1%に当たる。平均在任期間は8年だが、パートナーになればその平均年収は恐らく10億円は下るまい。そして2年一回のパートナーへの昇進者の発表の際には人知れず降格人事も必ず行われていたらしい。ただ今年はその人数が突出して多い。
通常社員の首切りはGSでも珍しくない。だが、ウォール街の出世の頂点と言われるGSのパートナーまで上り詰めた人材を降格させるのは確かに非情。それもここまで大人数となると、事前に記事になるのは必定だ。
その昇進者にはポールソンや、今ならブランクファイン会長が直接電話を掛けるのが習慣らしいが、今年これだけ人数の入れ替えがある背景として二つの理由が紹介されている。まずは収益のプレッシャー。新金融改革法案やボルカールールなど、GSを直撃したルール改正は多い。そしてもう一つは、金融業界を巡る環境の激変がスタッフの新陳代謝を妨げているという経営の判断らしい。
そもそもこれまでGSは、一流の人間が保身目的に組織にしがみつかないという伝統があった会社。だが「GS出身」の金看板が効かず、保身にならざるを得ないとしたら確かに組織としては危険な兆候。ならば強引に新陳代謝をするのみか。
ソレが断行できる間はGSは大丈夫だろう。そして、パートナーで無くなっても、会社はその人事を発表する事はないがハドソン川に面した新しい本社の個室は取り上げられる。ならば結局は皆の知るところとなる。
そこまでプライドを傷つけられても会社に残ろうとする人が出るなら、それはGSという組織の話というより近未来の金融業界の地盤沈下が近い事を示唆する。ハドソン川の窓際族は、ウォールストリートの頂上が下がってきている事を象徴している。
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