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2010年9月30日木曜日
国民性への格付け
昨日の敵は今日の友・・これは戦国時代の話かと思いきや、今日のニューヨークタイムスの国際面は現代がまさにその時代である事を現わしている。そもそもロシアは本来快く思っていない中国と、尖閣問題後に対日領土戦略で協調歩調をとった。そして同紙の今日のビジネス面トップは、BP本社をクビになったヘイワード前社長が、BPとロシアとの折半会社であるTNK-BPに迎え入れられ、ロシア人と抱き合っている姿である。
覚えている人も多いはずだが、ロシアは経営権を巡り少し前までBPと袂を分かつ寸前だった。だが敵の敵は味方と言う事だろう、BPと米国の関係が悪化したと見るやもう仲直りである。
この様に、米国の支配が弱まり、国際情勢が流動化すると、世界は何でもありだ。こうなると国家間の約束事もこれからはあまり意味をなさない。その危険をやっと日本も尖閣問題を通じて感じたはずだが、そんな中でも日本が信用できる国があるとすればやはりドイツだろう。その証拠が以下のサイトである。
http://www.spiegel.de/international/germany/0,1518,720156,00.html
ここで紹介されているのは、ドイツは第一次世界大戦後、ベルサイユ条約で約束した賠償金の支払いを、来る10月3日に完了すると言う話。その内容からは今日に至るまでの様々なドラマが判る。
第一次世界大戦後、ドイツだけが悪者にされ、当時のドイツマルクで2690億マルク、ゴールドに直して96000tの巨額な賠償金が課せられた。29年に1120億マルクに減額されたとはいえ支払いの厳しさにドイツは行き詰まり、ベルサイユ条約の不当を訴え国民感情を味方にしたヒトラーは一気に頂点へ。そして第二次世界大戦後、西ドイツはヒトラーの登場で1/8の段階で放棄した第一次世界戦の賠償金の負債も履行する事を表明。そして何十年を経て、最後の利払いが10月3日で完了する。
記事からはインフレと額面との関連が定かではないが、いずれにしてもこんな大昔の負債を律義に払いきるのはドイツ魂の真骨頂だろう。逆に言えば、借金は返すという強い意志があるからこそ、この国は財政に対して厳しいと言える。
その点で米国はどうだ。これまでこの国を支えたコンセプトは、返せないほどの借金をしても、富への挑戦をしたモノは許されるである。そしてこの概念は債務者に甘い破産法に盛り込まれ、また金融のシステムの中でノンリコース(担保以上の負債は残らない)を可能にした。
ただこのコンセプトもこの国が未来永劫成長する事が前提だ。裏を返せば、成長がとまれば自分で尻拭いする覚悟がない限りこの国の国民性ほど日本やドイツとかけ離れた国はない。従って、米国は絶対に破産しないと考える人々は、ではなぜこの国にはチャプター7(破産法)やノンリコースの制度があるのかよく考えるべきではないか。この国で破産は戦略であって切腹ではない。
いずれにしても信用とは最後は人間としての使命感である。時に使命感は合理性の実を追求したルールの中では敗者になる事もある。だがそれでも個人的にはノンリコースなどといった無責任制度がある国を最後まで信じるのは愚かと考える。
そして冒頭の図表では、米系のゴールドマンサックスは、ドイツ経済を評価する一方で米国には厳しいことが判る。これは、GSは無意識の内に、現状の経済に加え、その国民性に対しても評価しているに等しいのではないか。表からはドイツにトリプルA、そして今の米国にはトリプルCがふさわしい・・。
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