93年、死んだ米兵の死体を弄ぶソマリアの人々の写真がTIME誌の表紙になった。また2002年、その紛争を忠実に再現した映画ブラックホークダウンは米国の若者に強烈な印象し、バグダットを目前に実際の市街戦に初めて突入する米兵を緊張させた。「そこまで米兵が憎いのか・・」93年、TIME誌が掲載した無残な写真を米国赴任の飛行機の中で見た衝撃は今も覚えている・・。
この憎しみは仲間や肉親を殺された当事者になってみなければ判らないのだろう。ただそんな残酷な事を日本人はしないと思っている多くの人に、NHKは果敢に挑んだ。昨晩こちらでも放送されたNHK特集は、終戦間際、乗っていたB29が撃墜され、パラシュートで阿蘇山の麓の村に舞い降りた11人の米兵の運命。7人は捕虜になり、4人は村人に追いつめられて殺された・・。
驚いた事にNHKはGHQが保管していた米兵の解剖写真まで見せた。白骨状態の顔は完全に陥没していた。そしてGHQによる犯人探しの調査にも口を開かなかった村民。当時その様子を子供として見ていた何人かの住民が、65年を経て、今NHKの取材に重い口を開いた。
「鬼畜米英」、本土決戦を控え、徹底した軍事教育と肉親を殺された村人は、米兵を村田銃で打ち抜き、まだ息のある米兵の心臓をカマで突きさした。血しぶきが飛んだこの様を観ていた少女は、自分は可哀そうだと感じたが、周りの大人は狂気と化していたと証言した。そして少年だった老人は、戦争で子供を殺された近所の母親が、死んだ米兵の死体に、「息子の恨み」と叫びながら竹やりを突きさしていた姿を今も忘れられないという・・。
「日本人は恐ろしい。だから起こしていけない。眠らせておくのが一番良い。」これは、世界を驚かせた米中の突然の国交樹立の前、毛沢東との秘密会談に臨んだキッシンジャーの言葉とされる。日本人との戦争を戦った彼等が恐れたのは、普段はやさしく勤勉だが、従順であるがゆえに暴走すると何をするか判らない当時の日本人の国民性であった事は言うまでもない。
だが時代は変わった。今の米国の内情を知り、またその米国から今の日本を観察する自分が、今の日本人に感じる一番の恐ろしさは別だ。それは、今の日本人が自国の過去にあまり興味を示さない中、彼等の世論で発足した第二次管内閣が真に米国の傀儡政権の様であっても、多くの国民は違和感を感じなくなっている。そしてこれほどまでに客観性を欠いた米国への編重に対する意識の欠如が今の日本人から感じる最大の恐ろしさである・・。
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