2011年1月8日土曜日

今年のキーワード、NORMALCY BIAS (正常性へ傾斜)顧客レターから

NORMALCY BIASと言う言葉がある。直訳すると「正常性への傾斜」。これはずっと警告されていた危険が現実になっているにもかかわらず、既に予見された事と、過去の経験がアダとなり、危険を回避する行動が遅れる現象を言う。例えばカテリーナの上陸を軽く見た犠牲者。或いはヒトラーのユダヤ人排斥の度合いを見誤り、ナチスが乗り込んできても逃げようとしなかった人々を指す。彼等がどうなったかは言うまでもないが、個人的には今年のキーワードはこのNORMALCY BIASと考える・・。

ところで、下げ幅は少ないが、株が今日下がった意味は大きい。なぜなら市場は住宅などの現実の癌には目をつぶりいい話ばかりをしてきた。これからもソレが続けられるかどうかのヒントは微妙な小さな下落が続く事かどうかだ。そして何よりも興味深いのは、本日GSは公式にSPが1500に到達するとの予想を出したこと。この予想には二つの見方が出来る。GSはヤン氏が昨年11月にQEは総額で2数兆ドル超になると予想。ところが年初のGSの顧客レターは「QEはQE2で終わる」修正された(CNBC発表)。つまり、GSの予想はマーケを動かすが、結局当らないと見る事も可能だ。一方で悪くもなく良くもない今日の様な数字が続けば、批判をかわしながらダラダラとQEを続ける事も可能。その時はPOMOプログラムが株式インデックスへの買いになるとしてS&Pの1500は達成可能。ただその前提はインフレが起きない事である。つまりこの国の今年の最大のリスクはインフレである。バーナンケは「15分で利上げは出来る。だからインフレはコントロール出来る」と断言した。だがバーナンケの実績も完璧なネガティブインデイケーターである・・。

さて、ここでは2004年頃から、米国はインフレよりもデフレが致命傷になると言い続けてきた。そしてその見方は昨年一般化された。ならばここで断言しよう。次にこの国がインフレになる時、その時はTHE ENDである。なぜならデフレはもう怖くない。バーナンケがいる。彼がQEをすればよい。だが米国の健全な体は既に死んでいる。今は死んだ体を薬で動かしているにすぎず、そのワンダーランドは副作用のインフレによる突然死で終わる。それまではインフレの危険性を皆が語りながら誰も本気にしないNORMALCY BIASが続くだろう・・。





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