2011年6月28日火曜日

キングオブクロップ 米国の作物王 (顧客レター)


上の写真、左は今回も大統領候補に名乗りでたロンポール。そして右は去年まで下院金融委員長だったバーニーフランク。この二人はともに70年代後半~80年代前半に下院議員となり、その後長年に渡り共和党と民主党を代表して多くの政策において敵同士となった。特に金融に関して一歩も譲らず、バーニーが金融委員長だった2010年までの下院では、WSやFEDを擁護しながらドットフランク法(危機後の金融改革法案)の発起人なったバーニー議長に、FED廃止論者のロンポールが食い下がる場面がよく見られた。ただこの二人は金融に関して信念を持っているのは確かだ。

まず本当は医者だったロンポールは、オーストリー学派の金融を学んだ後、ニクソンがドルと金の交換を停止したことから、これからは世界のマネーはペーパーゲームーなってしまうと危機感を抱き、その日に医者を辞めて政治家になる事を決断した筋金入りである。一方金融の街NY近郊のユダヤ人家庭に生まれたバーニーは、どちらと言うと場末の荒れた環境で育ちながらもハーバードの大学と大学院を苦学して卒業した庶民派であり、一方弁護士出身としてWSと妥協しながら民主党の金融政策立案の中心として君臨してきた。 

この様に、ライバルとして米国下院の顔だったこの二人は、殆ど案件で相反しながら、議会の大半が反対し、また日本人の常識からはあり得ない変わった法案に関してなぜか協調路線を取る事があった。その代表が同性愛者の権限を守る法案。自ら同性愛者なのを明らかにしているバーニーはともかく、共和党のロンポールは共和党では孤高のゲイ容認論者である。ただ彼の場合ゲイを推奨しているのではなく、リバータリアンとして個人の自由を尊重するという信念からだ。そして今、この二人が再びタッグを組んだ。 二人の対立を金融危機後からずっと紹介してきた立場としては不思議な気分だが、今ふたりはマリワナの合法化でタッグを組んだ。いわば「ロン‐フランク法案」である。(個人的仮称)

そもそもマリワナは長年米国では影のキングオブクロップ(KING OF CROPS)だった。合法化された産物ではないので農務省の出した統計はなく、民間が出した2006年の資料しかないが、当時金額ベースで米国の穀物生産高トップのコーン35ビリオンを上回るビジネスになっていたとされる。 (2006年のコーン価格はMトン当たり100ドル前後、それが現在は300ドルと3倍。一方2010年の生産高は2006年の120%なので、単純計算で今のコーンビジネスは120ビリオン。マリワナがこの金額を上回っているかは判らない。) ではなぜこれだけの規模の産物に税金がかからないのか。ロンポールとバーニーはマリワナの取り締まりを止め(ドラック全体の取り締まりコストは2兆円)、逆に合法化して税をかけろと言っているのである。

そもそも米国は1600年代初頭に、タバコ栽培を目的に移住が始まった(バージニアスリムは名残)。それから400年、今この国でタバコの役割は終わりつつある。喫煙者の永続的減少の中、1箱1000円では税収も知れている。ならば400年前のアメリカンドリームに匹敵するモノは何だ。それはマリワナ栽培かもしれない。 ここ数年この国の金融市場で起こったクレージーからすれば、全く違和感はない。ロンとバーニーの二人の金融の論客からすれば、それは米国のロールオーバーとなろう・・。


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