2011年7月7日木曜日

アメリカンフォーリー(American Folly)




今年の独立記念日は天候に恵まれ多くの米国人が花火を堪能できたという。まあ今の米国人にとって独立記念日は「花火の日」でしかなく、この国にとって独立が何だったか最早はどうでもいい話である。ではその米国からいつまでたっても独立しようとしない日本は、米国はどうやって独立したのかを敢えて知るべきだろう。

そもそも米国は独立戦争でイギリス軍を打ち負かしたのではない。職業軍人部隊のイギリス軍に対し初代大統領のジョージワシントンが率いた米軍は基本的に農民の反乱軍。そんなことは不可能である。客観的にみて米国の独立はフランスの協力なしにはありえなかった。それは記念日に再放送された第2代大統領のジョンアダムスの伝記でも米国人に示された。そこでは米国のグランドデザイナーのベンジャミンフランクリンが、フランスに駐在し、ジョンアダムスと協力しながらアメリカがイギリスから独立するためにフランスが協力する環境を整える様子が描かれている。ならば米国は独立記念日にはもう少しフランスに敬意を払ってもよいはずだ。

今の米国人が歴史に興味を示さず、フランスをはじめとする欧州を軽視する事に、逆にフランス人はどこかで米国を馬鹿にしているだろう。その典型が独立記念日のニューヨークタイム。特集は 「AMERICAN FOLLY」だったが、ストラスカーンの一件で更に若い知識階級のフランス人はこの思いが強くなっているらしい。「アメリカンフォーリー」とはその言葉の通り米国の愚かさと言う意味。フランスからすれば、トランスフォーマーのような映画しかつくれない今の米国の風潮が、拙速なストラスカーンの逮捕につながったと考えているようだった。その意味ではここにて欧州流の協調に水を差す米国の格付け機関の行動も「目立ちたがり屋」以外の何物でもない。(ギリシャ国債の扱いにおけるS&P)

恐らく、このような事が重なって金融危機後の協調は崩れていく。相場はその時が楽しみだが、次に共和党から大統領が出たらその可能性が一気に高まる。一方米国ではその前に今週米国債上限で山場が来る。ならばこの国が小世界たる事の意味をしらず、イメージだけで米国債を抱えてきた日本の投資家は今こそ米国憲法修正条項第14条の4番を勉強した方がいいだろう。過激な共和党の中にはこの時代にこんな話を持ち出す輩がいるのだ。

そして最後に最も重要な事を一つ。今は国家の借金として国債と成長率ばかりが取り上げられる。だがそれは格付け機関のまやかし。厳密には「国家の借金=国債発行残高」ではない。それが冒頭の資料。それをみると今こ国の借金は14兆ドルではなく60兆ドル前後になるだろう。小世界のアメリカは独立後、偉大な建国の父の威光もあり、徐々に地球と言う大世界をその傘下に従えた。その構造がこの借金を誰かに肩代わりさせているにすぎないのである。

(資料は2007年の)

(米国憲法修正条項第14条4章)

Section 4. The validity of the public debt of the United States, authorized by law, including debts incurred for payment of pensions and bounties for services in suppressing insurrection or rebellion, shall not be questioned. But neither the United States nor any State shall assume or pay any debt or obligation incurred in aid of insurrection or rebellion against the United States, or any claim for the loss or emancipation of any slave; but all such debts, obligations and claims shall be held illegal and void.





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