2011年7月15日金曜日

米国に矜持があった時代




(添付チャートはDoubleLineのJeff Gundlach作成の引用)

CNBCに登場するマネーの亡者は金融市場が苦しくなればバーナンケは助けるしかないと異口同音に言う(QE3)。ソレが彼らの相場感の前提であり、今彼らの多くは米国債の発行枠引き上げ問題でオバマと対峙する共和党が増税を阻止する事を応援している。だが普通に考えれば正しいのはオバマだ。なぜならオバマ政権は彼らが引き起こした金融危機で、本来は彼らが背負うはずの負債を国が肩代わりした。結果米国債が大量発行された。しかしこんな事は続けられない。だから国家財政を元に戻すためにもオバマは今度は彼らの様な金持ちから税金をとるしかない。ところが共和党下院は増税は受け入れらないの一点張り。その根底をなすのがレーガン以後の減税信仰である。そしてその矛盾に便乗しているのがバフェットのレベルになれない金の亡者達。

多くの人は知らないが、そもそも米国は過去の様々な困難を国家の協調で克服してきた。実は国が苦境にある時、金持ちが払った税金は多大である。それが上のグラフ。そしてその下には米国の債務残高のチャートを入れた。実はダウのチャートもこの債務残高と同じカーブである。これをみると米国は20年代に世界の頂点にたったにもかかわらず、その株価も債務残高も50年以上低位で推移した。それが84年から爆発的に急上昇したわけだが、ここに今の米国がレーガンを崇める理由がある。レーガンは彼こそが一定の枠内に収まっていた米国債残高を野放図にした張本人だが、株と共に米国人の生活は豊かになった。そしてその間に米国債の消化が問題にならなかったのはクリントン時代の世界経済の成長と日本のデフレによる資金還流が貢献したからだ。こうみると、レーガン以降の米国は借金で株のインデックスを買ったともいえる。ならば債務と株のチャートが同じカーブ野は当然。ただそれを支えた成長に陰りが出るとブッシュは限度を超えた規制緩和と流動性に頼ってしまった。ならば崩壊は必定。では今その崩壊から立ち直れないからと言ってまたここでレーガンを持ち出していいのか。

レーガンが成功したのは、その前に長い矜持の時代があったからである。しかし今その前提はない。存在するのはレーガン時代に甘やかされたベービーブーマー。そして彼らをの票が全てである今の政治家に対し、オバマは今考えるべきは次のELECTION(選挙)ではなく、次のGENERATION(世代)だと言ったという。そしてそのためには再選されなくてもよいといった話が伝わっている。やや美談すぎるか。この話が本当なら本来のオバマを取り戻したオバマにもう一度期待してみたい・・。


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