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2011年7月13日水曜日
スプレッドの魅力と罠(顧客レター)
そういえば昨日は午後に金先物が急落する場面があった。株/債券がリスクオフモードの時、それまで独歩高だったゴールドが突然急落するパターンは過去にもあった。多くの場合その前後で株の売りと債券の買いはパニック感が漂った。そしてこの様なケースの多くは、ヘッジファンドが何かの取引で損が拡大し、追加の担保を迫られたのケースだとされた。確かに、この5年間でもゴールドはもっとも安定的にロングポジションを維持できた商品。つまりヘッジファンドは為替や株で損を出すと、ゴールドを売り担保に換える仕組みが出来あがっていたのである。
ならば昨日の午後からのこの24時間の株と債券の派手な動きはソレを前提すべきか。そして今商品系のヘッジファンドで一番危険で一番魅力的なスプレッドと言われるのモノがある。まるで毒を持ったバラのような話だが、そのスプレッドとはブレントとWTIらしい。(北海とテキサスの原油先物)
例えば金と銀の相関は長いモノで1000年のチャートがある。そして今の金/銀の代表的な相場感はレンジ内を想定している。つまりフィボナチ。それに比べオイルのスプレッドは歴史が浅い。永らくWTIがブレントを1ドル程度上回る決めごとで推移してきたが、元々そこに金融商品のスプレッドにある確固たる理論はない(せいぜい純度)。
ではいつの間にか米国がロシア サウジに肉薄する3位の産油国になり、本来自然保護の民主党のオバマ政権が産油大国化宣言をする中でこのスプレッドは売りか買いか。この姿勢を前提にすればスプレッドは拡大する予感。だが先に欧州が衰弱すればその限りではない。いずれにしても未知のチャートの魅力はここ。そして今、このスプレッドの甘い罠にはまったヘッジファンドの出血が激しいらしい。(WTI買い/ブレント売りの損失拡大)
さて、連日のとりとめのない値動きの中で隠れている要因がある。それは前述の様に様々なスプレッドの前提への揺さぶりだ。例えば欧州では昨日から格付け機関の格付けを敢えて無視する行政指導の話が出ている。また先物市場では、本来金融商品までを扱うはずの金融機関が、今は先物の対象となるモノを仕込んでいる噂が聞こえてくる。
もともと先物やデリバテイブ等は所詮は約束ごとである。一方でこの国では約束を守れず、それを誰かに転嫁するのはスキルとなった。そしてその最後の受け皿だった米国債までがついにソブリンリスクの対象になる時代が始まった。ならば金融機関がその先にまで手を出しても不思議はない。
つまり、欧米の一部の金融は表向き市場の混乱を理由にFEDにQEを続けさる一方、実はその金でモノを抑えにかかっている可能性がある。やはり彼らの方が先が見えているのだ。ただマネーをとり扱う金融にここまで許したら世界は終わりに近い。しかし今の米国は金融と実体経済のバランスがおかしくなってしまった以上、最早コレは陰謀というよりは宿命として我々は準備すべきだろう。
そしてその本質に対して現象でしかない今の金融市場のボラティリティの中でバタバタするのはゲームとしては面白い。だが、一時そこで勝ったからと言って生き残りが保証されるものではない。まあ何らかの約束を前提にした金融市場のこれまでの前提に限界が訪れた時に人は何を求めるか。次のフェーズは相場の転換点ではなく恐らくは歴史の転換点のプロローグだろう・・。
Subject: TAKIZAWAレター
Date: Tue, 12 Jul 2011 06:08:18 -0700
突発的な出来事なしにNYが開く前に債券先物(TY)が80万枚の出来高。殆どはペイントレードだろう。そして敢えて冷静にみると、ギリシャにせよ、イタリアにせよ、スペインにせよ、なんにせよ、そのヘッジで今の不健全で不透明な米国債をここまで買い上がらなければならないのは別の意味で末期症状だろう。相対的ではなく、米国の力を冷静に見てきた立場として、このルールの根本である米国のアンカー理論を先を急がなければならないと感じている・・。
この本質とは別に、昨日紹介した1294レベルのサポートを試した株(SPU)は、この後突発ニュースが無ければかなり戻る。そして次に下がるかどうかはJPの決算を観てから・・。つまり今日の米国債はデイトレードでは絶好の売り場・・。
一方で大水害と大干ばつの米国のコントラストは今の米国の二極化の象徴。米国議会の舞台は、米国という国家の体裁よりも自分の主張をぶつけ合う事が優先される場。ソレに政権が対峙するわけだが、どっちに見方しても再選が苦しいオバマ政権はインディペンデントを意識している。米国のインディペンデントは、自分ではなく国の行く末を心配する唯一の層。オバマはこの人々の信頼を取り戻さなければならない。つまりはオバマもこの声を代弁するならば、安易な妥協はないという事である・・。
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