2008年8月12日火曜日

オリンピックの正しい見方、其の2

こちらでは野球が山場を迎えつつあり、そんな中でアメフトのプレシーズンもスタートした。従って他に見るべきスポーツが沢山ある米国人にとっては、オリンピックへの注目度は日本人の1/3程度だろう。

ただそれでも今年は北京と言う事もあり、また独占中継するNBC並々ならぬ力の入れ様でそれなりの視聴者を呼んでいるはずだ。そんな平均的米国人もあの開会式には驚いた。それは現代のスポーツ中継の第一人者であるボブコスタ氏の開会式中継での驚嘆ぶり(組織力と見事な演出に対して)素直に物語っている・・。

そういえば、ここで何度も紹介したテレビ番組「ソプラノス」の食事のシーンで、主人公のバカ息子が、スパゲッテイーを食べながら、「パスタは中国人が発明したって本当?」と聞くシーンがある。

トニーは何も答えずにそのエピソードは終わる。一般的西欧人はその文明の起源から現代までの発展の流れを「ギリシャ」「ローマ」「大航海時代」「大英帝国」「米国」と考えているとみている。途中発生したイスラムの台頭や一時的だったモンゴルの脅威は禍だったとして無視し、キリスト教の優位性を観念的に信じ込んでいる。

その意味で中国の存在は「トニーのバカ息子」に代表される大半の西欧人にとっては未知だったといえよう。しかし経済的と軍事力の台頭や将来は、地球環境の破壊者として場合によっては西欧文明にとっては必然の禍、悪者に変化していくリスクを感じ始めている。

しかし、西欧が優越感を覚える一方、羅針盤等の航海技術を発明したのは中国だ。実際ガマやコロンブスが航路や新大陸を発見する100年前に明の鄭和は大船団を率いてインドやアフリカまで既に到達している。鄭和はそこで漢民族の文明の優位性を暴力や宗教で押し付ける事なく、現地の文明を尊重し友好関係を結んで帰国した。

NBCは競技の中継の傍ら、食文化の紹介などの興味本位の中継に力を入れている。ならばせっかくなので米国は中国の歴史にもう少し時間を割いて中継した方がよい。それが世界平和と米国の未来の為にも有益であろう・・。

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