正直涙が止まらない。2日で400球を超える玉数を一人で投げぬいた上野選手に「神」が動かされたのだろう。上野を援護する打者に米国から3点も得点する力を与えた試合だった。いずれにしても、次からは正式競技でなくなる1競技のソフトボールの金メダルは、個人的には地球より重い意味を持つ。
大げさでなくこの勝利は日本にとって戦後米国から押し込められた呪縛からの解放にむけた勇気の象徴として、過去の鬱積が晴れる勝利と言っていい。一方米国にとっては表面的には「取りこぼした金メダル」の一つに過ぎないかもしれない。しかし敗戦後に奇しくも米国人解説者が日本の勝利を「奇跡」という言葉で表現したが、日頃は奇跡を前提しない米国が自ら一スポーツイベントに過ぎなかった80年のレークプラシッドでのアイスホッケーの対ソ連勝利を、どん底にあえいでいた国威の向上への奇跡の転換点として今は評価している事をもう一度触れておきたい。そして私には、その絶対性において米国ソフトボールの代表チームは80年のソ連アイスホッケーの代表チームにも匹敵する。80年、奇跡を超したのは米国の若者だ。そして今回、その米国に対して奇跡を起こしたのは日本の女性である。
80年のミラクルの後、米国はレーガン政権を経て頂点を極める。逆にソ連は直前のアフガニスタン侵攻が結果的に国力を弱め、崩壊へと向かって行った。はたして国威と奇跡のスポーツイベントとの因果の歴史は繰り返すだろうか。繰り返すとしたら、やはりこの金メダルの意味は重い。「ウエノ」は米国人の記憶と日本の近代史に残る女性となろう・・。
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