2008年8月30日土曜日

市況から

さて米国について、日本人が知っている様で実は全く誤解している事の一つが「自由で平等」というこの国の国是の年輪だ。私も含めて戦後生まれの大半の日本人がイメージする米国は実はまだ44年の歴史しかない。昨日米国はオバマの歴史的演説で盛り上がった。しかし64年にジョンソン大統領が公民権法に署名するまでは黒人の政治家どころか多くの州で黒人は投票権すらなかったのだ。それに比べれば、映画「ALWAYS3丁目の夕日」でも紹介された40年前の日本、昭和の30年代がいかに平和で民主的な情緒にあふれていたかが再認識される。

その公民権法施行は63年のマーチンルーサーキングの有名な「I HAVE A DREAM・・」の演説で確定的になったわけだが、民主党はキング牧師が其の演説をした8月28を態々選んで昨日オバマを登場させた。そしてそのオバマの演説は個人的には攻撃的な印象を受けた。これまでのような夢を語る総論ではなく、各論において共和党とマケインを直接攻撃するスタイルに変わっていた。これはこれまでのオバマにない積極的な対決姿勢である。

一方の共和党は本日副大統領候補を正式に発表する。CNBCは昨日まで本命視されていたロムニーなどではなく、アラスカ州知事のサラパリンを選んだと言うNEWSをすっぱ抜いた。彼女は43歳。米国で初めての女性州知事である事と、風貌がどことなく若い頃のヒラリーに似た華やかさを持つ事から、この選択はヒラリーを応援し、失望したままの女性票の取り込みを明らかに狙っていると思われる。

やはり共和党は民主党よりも戦略の切り替えが早い。クリントン夫妻の応援で融和を完成させたい民主党だが実際は簡単ではない。共和党はそこをすかさず突いてきた。ただこれで経済的、特に株式市場は一旦ロムニーへの期待が剥がれるだろう・・。

(本日の午後)

共和党の副大統領候補はサラパリンに決定した事が公式になった。彼女はビューテイーコンテストで優勝した経験を持ち、小さな町の町長からトントン拍子でアラスカ州知事になった女性らしい。その意味ではオバマも「シンデレラ」なら、彼女も「シンデレラ」的な要素を持つ。しかし言うまでもなく副大統領は大統領が不測の事態に墜ちた時には自動的に大統領になる。特に今回の大統領選は常に暗殺のリスクが伴うオバマと高齢のマケインの戦いだ。よって投票者に母国を憂う気持ちがあれば、心の何処かに不測の事態を想定し、其の際に副大統領が大統領にふさわしいかどうかも判断の基準となろう。もしパリン女史の実力がヒラリーと比べて見劣りするなら、共和党のこの選択は失敗となる。

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