2008年8月1日金曜日

ブルーンバーグの僕(しもべ)

NYのブルーンバーグ本社からチャートの専門家がプロモーションにやってきた。ブルーンバーグに登録して15年経つが、実はこの端末を殆ど使っていない。従ってブルーンバーグではメールも打てない。チャートは10年以上CQGを使ってきた。その専門家が真にその人だが、2年前にCQGから優秀な大勢がブルーンバーグに引き抜かれ、チャートを描く多機能も今では完全にCQGを凌駕している事が本日確認された。

ブルーンバーグが保有するデータは膨大だ。このデータを自由に端から端までチャートに変えていければ非常に便利である。そこで興味があって彼等に聞いた。指標と同時に同社の端末から自動的に発注するシステムをNYではどの程度の人は使っているか?彼らでは解らないという。だがそのシステムを開発したのは顧客の要望に応えての事との話には驚いた。

そもそもブルーンバーグは最新のナビゲーションシステムの様なモノだ。前回の東京出張でも全てのタクシーがナビを備えていた。ナビの利便性は誰も疑わないし、コレがあれば東京の道を知らない自分でも明日からタクシーの運転手ができる。しかし自分は今の仕事を続ける限りこ、れからもブルーンバーグの愛好家にはならないだろう。なぜな、ら益々機能を充実させ世界を制覇していく同社の端末はあまりにも便利な為にその端末だけの世界で大体の事が済んでしまう。しかしそれはリスクだ。

今市場参加者はブルーンバーグを通して膨大なヘッドラインは瞬時に入手できる。ただあまりにも膨大な情報が手に入るためか、無意識のうちに我々は情報の本質を見抜く力を失ってきた。表面的には感じない寧ろ充実感さえ感じる錯覚と知識のスプレッドの拡大。真の情報は思考力を経て真の知識に変わるはずだが、この過程を省く利便性は実は静かに人間の思考力の退化につながると私自身は考える。

そして今は指標の数値次第で発注まで機械に任せる時代。これでは最新のナビを備えた車に自動運転装置がついた様なモノ。最早運転中も起きている必要がない時代になった。気の小さい自分にはそんな事は出来ない。もし可能だとしたらそれはトレードが命がけの勝負ではなくゲームである瞬間だけだ。ただもしかしたら市場はいつしか命がけの真剣勝負の場所から実はゲームの場所になっていたのかもしれない。いずれにしてもそんな時代にはブルーンバーグを使っているつもりが、実は「使われているかもしれない人」が世界にはかなりいるはずである・・。

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