2008年8月12日火曜日

<今日の視点>オリンピックの正しい見方。其の3

米国が今回その威信をかけて絶対に金メダルを取る意気込みで送り込んできたのはバスケットボールの代表チームだ。このチームと比べれば、野球の米国代表チームは学生レベルといってもよい。そのバスケットボールの初日、会場にはブッシュ親子がいた。彼等は中国を相手に前半は緊張気味の自国のドリームチームを不機嫌そうに見ていた。ただカメラは同時にブッシュ親子の真後で目を半開きにして明らかに寝ている老人の姿もとらえた。その老人はキッシンジャーだった。

キッシンジャーが現政権の政策に口を挟んでいるとは思えない。だが考えてみれば彼が政権中枢にいたニクソン以後も世界はこの老人の影響を受けてきた。その彼が今も関係が深いと言われているのが「ネオコン」である。そしてそのネオコンとグルジアのサーカシビリ大統領はソ連崩壊から親密な関係である事は言うまでもない。

そもそもネオコンの主張の全てが濁っていると言うつもりはない。なぜなら民族の分離独立と自由自決主義は民主主義の大枠に入る。ただこの純粋な思想がキッシンジャーに代表される純粋から最も離れた国益策謀の中心グループと交わると、米国の行動パターンは世界に様々な副作用を及ぼす。

振り返ればブッシュ親子は大統領としてのエネルギーの大半がイラクと中東に注がれていた。だが、彼らに纏わりついたネオコンにとってはその理想が世界に拡大する順序において中東もバルカンも大差はないはずだ。そして大統領が交代していっても米国の国益、或いは米国という傘を通して自己利益の増殖を図る人々にとっては、大陸各地で発生する民族自決による摩擦は常にチャンスの芽も含んでいるのである。今回もその絶好の機会が突然やってきた。そして、もしかしたらこれはブッシュの次に政権の重大なテーマとして働く可能性さえある。

ところで、視点では何年も前から次に米国経済が悪化した場合、FEDによる金利調整は効果がなく、予想されるドル安の過程で米国はむしろ世界の混乱を望むだろうと主張してきた。ただそれは一つのパターンを紹介したに過ぎず、私自身も実際にそうなると確信した訳ではない。ただ今回の程度で簡単に弱点を露呈するユーロと、その結果手に負えなかったOILがいとも簡単に鎮火していく市場の本質には改めて驚嘆する。ただ株が上がるのは金余り中で皆がスプレッドのポジションを持っていたからである。基本的にはOILが下がっても住宅の価格は戻らない。よってスプレッド解消のショートカバーが終了すれば、株は自ずと調整過程に戻るだろう。

そういえば80年代にまだ矍鑠としていたキッシンジャーをホテルオークラで何回か見かけた事がある。もしかしたら一昨日、心配そうに母国のチームを見ていた単純なブッシュ親子の後ろで恍惚の様で寝ていた彼は、実は現代の妖怪としての面目躍如の姿だったのかもしれない・・。

0 件のコメント: