2010年6月8日火曜日

米国対英国

土曜日、ワールドカップの米国代表は南アに入る前の最終調整としてオーストラリア代表との親善試合を敵地でこなした。結果は3:1で米国の勝ちだった。

そもそも現在プロリーグのバスケットボールとアイスホッケーの決勝が行われている米国では、ワールドカップの話題は少ない。また前回のロナウジーニョの様な米国人も知っていて尚且つナイキが力を入れる選手がいない事から3大ネットワークでのコマーシャルは少ない。一方で日本が負けたオーストラリアも同国でサッカーは3番目のスポーツ。よって清貧でも真面目で実力がある選手が集まったこの試合は本番直前に関わらずガチンコゲームで迫力があった。そしてそのゲームを偵察していたのがあのベッカムだ。彼はイングランド代表からは漏れた。だが彼を映したESPNでは、母国の為に米国チームを偵察しているとの判断だった。

一方米国内では野球が本番を迎え、NBAの決勝はレイカース対ボストンの因縁の対決。またホッケーはカブスと違い実力がありながら50年も優勝から遠ざかっているシカゴの名門ブラックホークスが大手を掛けた。スポーツニュースがこの雰囲気の中、極論すれば殆ど注目されない米国の代表チームにイングランドが負けたらどうなるだろうか興味深い。はっきり言って米国は強い。オーストラリア戦の直前にはトルコにも快勝している。個人的には米国がイングランドに勝っても全く驚かないが、ワールドカップが始まれば仕事が手に付かない英国人サポーターにとっては、サッカーに興味が無い米国に英国が負けるシナリオは許されないはず。だがBPの事故という懸案を抱え、20世紀以降は珍しい微妙な今の米英関係の中で、そんなシナリオは十分ありえるのではないか。

ところでそのBPのおかげで米国民の「憎まれ役NO1」を逃れていたのがGS(ゴールドマンサックス)。だがそのGSに対して今度は中国がマスコミを(CHINA YOUTH DAILY) 使って鉄槌を下した。同紙はGSは中国企業に対し「slurping gold and sucking silver・・」とのきつい表現。GSの様な証券会社には「儲ける=騙す」のイメージが定着する中、彼らにはどんなビジネスモデルが残るのか。市場(上場)で儲けろと言う事かもしれないが、そもそもそのゲームにかかわる人間が多すぎた事でリスクオフに走るとこれだけの下落が起こっている。そして株が下げ止まらない背景の一つは、政府がこれ以上の救済処置をすると、救済をした国からソブリンリスクを言われるという新しいジレンマの環境がある。この新環境は米国とて侮る事は出来ない。

またBPの事故が米国にとって厄介なのは、BPと英国の特別な関係が一因。事実関係からいうと、BP株は英国の年金ポートフォリオ全体の1.5%を構成し、その単体の配当は年金の全体の配当のなんと14%を占めている。それだけBPの配当が英国社会に与える影響は大きいという事だ。だが今米国では、BPが未来の米国民への保証をよそに英国民へ配当を出し続ける事への不満が高まっている。

これは厄介だ。米国政府は処理のコストを絶対に米国民の税金からは出さないと明言している。そんな事をしたらこの政権は持たない。だがBPが傾くと英国経済が大打撃を受けるかもしれない。クラブメド諸国に続き英国が傾くと最早ドイツ一国ではどうにもならない。するとその影響は米国に襲いかかる・・。


振り返ると今回の市場環境の悪化は非常に神がかり的である。そもそもギリシャが発端。また歴史的にあれほどオフショアドリルに反対した民主党と政権が賛成に回った途端にこの事故。これはまるで愚かな人間に対する「神の意志」の様な顛末だ。ここでは旧約聖書の「創世記」を現状解説に用いたが、どうやらその様相は益々濃くなっている・・。














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