多くの日本人、並びに金融関係者が間違えている事の一つが中国をエマージング国家(勃興国)として考える事。それを今週のFTの記事は改めて問い直している。まず、記事は米国のIHS社のデータを参考にしており、世界史に殆ど興味を示さない米国ではこのシンクタンクはやや異質なのかもしれない。そして内容は世界のモノづくり国家NO1の推移である。具体的にみると、2009年の米国のGOODS OUTPUT(モノ作り)の総額は$ 1717bn(150兆円)、中国は$1608bn(140兆円)。だが同シンクタンクの予想では、2011年に中国は$1870bn(165兆円)になり、米国を抜き去る予定だと言う。
同数値で米国が英国を抜いて世界NO1に躍り出たのが1890年代初頭と言われている。よって米国は120年に渡る王座を明け渡す事になる。数値はインフレ率を考慮していないが、IHSはインフレ を考慮しても違いはせいぜい2~3年としている。ならば来年世界は新チャンピオン誕生という歴史的瞬間を迎えるのか。実はそれは違う。中国は新チャンピオンではない。FTも指摘している様に、中国は1850年に産業革命で勢いがでた英国に王座を明け渡すまで、1500年に渡り世界のモノづくり国家NO1だった。つまり、中国は新チャンピオンではなく、王座への返り咲きである。ここが現代人の最大の勘違いである。
この様に、モノ作りの歴史では、米英など足元にも及ばない圧倒的な存在であった中国。ならばその中国をエマージング国家と呼ぶのは中国に失礼。そして元々自分達をエマージングなどとは考えていない12億の中国人と、この世界史としての客観的な史実を全く意識しない米国人との感覚のズレは、いずれ世界にとって災いになるだろう・・。
FT記事: http://www.ft.com/cms/s/0/af2219cc-7c86-11df-8b74-00144feabdc0.html
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