2010年6月2日水曜日

8月15日の不思議

米国ではメモリアルデイ(戦没者記念日:毎年5月の最終月曜日)の連休から公式に夏が始まる。そして今年のシカゴのメモリアルデイは、夏の始まりにふさわしい日となった。そんな中、真夏日となった日曜日は汗だくになり、去年は全滅してしまった日本のトマトの苗床の整備をした。だがあまりの日差しの強さに近所迷惑も考えずに沖縄の音楽をかけた。すると意外な反応が隣人から返ってきた。隣人は60代、ヨーロッパのクラシックの雰囲気とは似ても似つかぬ「涙そうそう」や「森山良子」の優しい美声は隣人にも受け入れられたのである。

ところで、メモリアルデイの始まりは1850年代と言われている。その趣旨は「独立」という初期の激動期に命を落とした米国人を追悼したものだ。だが近代になり、対象は世界大戦やイラク・アフガンという対テロの新しい戦争の戦没者へという拡大した。そして街中をにぎわした記念のパレードを観ながら改めて感じたのは、米国で重要な祝日のこの日は日本では休日になっていない事だ。

そもそも米国の祝祭日は年間10日しかない。一方日本は振り替えなしで15日もある。だが日本は国家としてこんな基本的な日を、15日もある祝祭日に入れていないのだ。これも米国の日本統治の一環かもしれないが、今の日本人はこの事に違和感がないのだろうか。

そこで参考までに米国の対外戦争の戦没者(兵士)をざっと紹介する。多い順に第二次世界大戦が30万、第一世界大戦が5.5万、ベトナムの4.7万、朝鮮戦争の3.3万と続く。問題はこの数が多いのか少ないのかだ。数値は日露戦争と太平洋戦争だけで200万人以上の兵隊が死んだ日本の1/4である。

つまり日本は歴史的に米国の4倍の戦死者を出しながら、戦死者を国家の休日として追悼する事は無く、一方米国は国威高揚、或いは国民の責務としてこの日を大事にしている。敗戦国の日本では反戦、嫌戦のムードが強いのは自然だ。だがここまで来ると、日本人は歴史を直視する事から逃げていたと思わざるをえない。日本がこの国家の基本を無視している間は沖縄問題が解決する事はないだろう。いずれにしてもあまりにも悠長な名前のついた祝祭日の一つを削り、8月15日ぐらいは記念日として休日にすべきではないか。


注。(米国最大の戦争被害は南北戦争。兵士は北軍11万 南軍7万が死亡。また民間人も36万人が死亡している)

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