本日のNHKのニュースでシカゴが出てきた。理由は昨日最高裁がシカゴ市の拳銃規制条令に違憲判決を下したからだ。個人的にはこれで9年前に購入したスミス&ウェッソンのマグナム375を堂々とシカゴ市内にを持ち込める・・。
こんな事を書けば驚く人もいるだろうが、拳銃は2001年、前回デフレの風を感じた時に購入した。それは、それまでの守られた日系企業の海外駐在員という立場から、自分で家を買い、米系大手で勝負に出た瞬間だった。そんな時に直面したこの国の景気後退。本来好戦的な性格ではないが、迷う事は無かった。
まあ真面目なおまわりさんに守られ、またデフレ下でも皆で平和的に縮小均衡を楽しむことが出来る世界でも特殊な日本の社会からは想像できないだろう。だがこれが本来この国のリスクである。ただその米国の本質を理想高きオバマ政権は変えようとした。しかし理想は甘さでもある。中途半端な試みは事態を悪化させることもある。一年前、ここで米国には2億丁の拳銃が出回っている事を紹介した。ところが、オバマ政権が試みた拳銃規制は逆効果となり、それまで拳銃を持たなかった人までがガンショップに殺到、今はそれ以上の拳銃が出回っている。
実はこの失敗と、あの金融の救済は同じ事になる危険性がある。そしてそれが今日の相場の本質である。
そもそも米国にとって拳銃は魂。メイフラワー号の先人がインデイアンから助けてもらったのは、この新兵器でインデイアンの争いに加勢したからである。その後南北戦争で多くの銃が造られると、戦争終了後に銃は西へ向かう開拓者の必需品になった。そして大陸横断鉄道が開通する頃には東海岸の豊かさは爆発的な食肉需要を生み、またこの頃には現在のグレートプレーンズは米国の穀物需要をほぼ満たした。
そこに登場したのが南軍の退役兵士が中心となって始めた牧畜産業である。彼らは鉄道で東海岸への食肉輸送が可能になった事で、駅のある北に向かった。そしてテキサスからオクラホマ、カンザスと北進した。これが後にカーボーイと言われるこの国の文化に発展する。但し、このカーボーイの人々は早死にだった。過酷な仕事に加え、原住民との戦い、映画さながらの命を粗末にする暮らしがあった。
だが、このWIN BY SWORD, KILLED BY SWORD(剣で倒し、剣で滅びる) が本来この国の市場原理の根幹である。命を掛けたリスクテイクが脈々と続きそれが原理主義を支えたのだ。だがこの国は豊かになり人は簡単には死ぬ事が出来なくなった。それはベービーブーマー主体の経済も同じだ。ただ国家としてそれは当然の成り行き。だが、米国にはここからの道筋で日本や欧州とは違う事を言う人がいる。
いいかえると、いつまでも見せかけの成長を言う人がいる。ただその多くは救済を受けた人々だ。そして彼等の殆どは政府に助けてもらいながら政府に協力をしようとしない。つまり、規制を受けいれず、税金を払わない。それどころか、この時ばかりは昔の米国のスピリットを持ち出す。ならば本来そのセリフを持ち出す前に彼等は全員は死んでいなければおかしい。
恐らくオバマ政権はこの連中を助けてしまった事で、取り返しのつかない失敗をした事になるだろう。なぜなら最早彼らを縛る事はできない。新法案さえままならず、中にはCNBCに登場、選挙で共和党が盛り返せば株は上がると能天気な発言を繰り返す。馬鹿な。実際は逆だろう。いずれにしても、オバマ政権は助けたはずの金融に足元をすくわれかねない状態。これが拳銃規制と同じ運命の所以だ。
そして最新の調査では、米国民の消費に回す可処分所得と負債の比率は史上最高の120%に達した。この数値の平均は80%。この悪化からしても、元々貯蓄のない庶民が住宅市場の二番底を感じる中では消費行動に戻る可能性は低い。仮に一時的に消費が回復しても最早それはこの国の根本的問題を解決しない事は実証された。
そんな中でオバマ政権が後退し、ブッシュ時代の様な共和党が復活したらどうなるだろう。米国の国家財政は危機的、そんな中で資金がある大企業と富裕層はどうしたら税金を払はなくて済むかを考えている。それが、前述の3流ファンドマネージャーの共和党待望論の如く株を復活させるというのか。無理だ。あの英国でさえ覚悟を決めた中で、そんな自己都合の理論が他国から支持されるとは思えない。つまりそれは、米国が世界から見放されると言う事である・・。
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