昨日で筆者の中では2008年の金融危機に一定の区切りがついた。背景はCITI。この米国最大手の銀行が絶頂期と言われた2000年の頃、筆者は日系大手証券からこの銀行のNY本社に転籍し、そしてシカゴ勤務の命令を受けて日本機関投資家向けに金融の先物オプションの業務を始めていた。
だがルービン財務長官が経営陣に加わった頃だろうか、同社の構造に違和感を覚え、同社の崩壊を静かに感じ初めていた。そして、幸いにもビジネスが軌道に乗ったのを確認した2002年、このタイタニック号を降りた。その時の株価は44ドルだった。
その後米国は住宅市場のピークを迎え、それに伴って株は上がった。だが、一旦崩れ始めると、沈没は想像を超えるスピードでやってきた。結局リーマンは無くてもいい存在だったのだろう。だがCITIの規模は別格だった。統合のやりくりではどうにもならず、米国は国家でCITIを抱えた。
この様に、政府の救済で生き残ったとはいえ、筆者にとってCITIは米国の資本主義と市場原理の敗北の象徴である。だがGMに続き、昨日米国はその象徴を再び市場に戻した。国家が保有していたCITI株を売り切ったのだ。そして本日はAIGについても米国は来年には株を再び市場に売り出すと発表した。
一方昨日バーナンケFRB議長は、テレビで「米国経済はまだ独り立ちできている状態ではない」と明言した。この発言は、FRBの超緩和策への批判をかわすためのものだろう。だがならばなぜ政府はそこまで急いでGMやCITI、更にはAIGの株を市場に戻すのか。この余裕の無さに今の米国の危うさが見える。
いずれにしても、ここからのこの銀行の運命がどうなるか、再び心の中で注目している。TOO BIG TO FAIL(大きくてつぶせない)の象徴でもある同社は、今後の米国を占う上で丁度良いサンプルになるだろう。
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