2010年12月17日金曜日

GIVE AND GIVE 映画の様な現実

この国に暮らし最近判らなくなったのが、ハリウッド映画と現実社会の境目である。元々米国はハリウッド的な社会だ。つまり厳粛よりも未来に向かっての夢を語る事でその発展を現実化してきた。だが今回金融危機後の経済の回復が鈍化すると、FEDはバランスシートを縮小する公約を変え、一気にQEと呼ばれる量的緩和にかじを切った。そしてその金融政策だけでは選挙に勝てない現実を突きつけられると、今度は世界に向け米国が呼びかけていた各国の国家財政の改善を自らここに来て無視、自国の財政健全化を棚上げし、金持ちへの減税の延長と、失業者や貧困層への救済の延長という「GIVE AND GIVE」の政策へ傾いた。結果、金融機関のレポートは一斉に米国経済の成長率を上方修正するところとなり、株価も上がった。

だが考えてもみよ。これらはすべて金融危機を招いた原因を正すための政策をことごとく途中で諦め、再び快楽を追求するだけの世界に舞い戻っていると言う事。そして、直前の正論があまりにもポーズだけの白々しい結果となったため、長年この国に住んでいる筆者も、何が現実問題で、何がハリウッド映画の夢の世界なのか判らなくなったのである。ただこの新たな「ハリウッド映画」が盤石に続くと言うならその世界に浸り続けたいのが本音。敢えてここで興ざめするような野暮な話はしたくない。だが、途中で現実に引き戻されるなら今度こそそのギャップはこの国にとって命取りなる。そしてその米国に盲目的にコミットする日本はどうなるのか。

そしてもう一つ、ハリウッド映画と現実が混在する話がある。それは今年のゴールデングローブ賞ーに複数の分野でノミネートされた「ソーシャルネットワーク」だ。これはFACEBOOKの創設者のマークザックバーグを描いた作品。彼は現在26歳で7000億円の資産を持つとされるが、それは彼が保有する非上場のFACEBOOK株を現在の米国株式市場のEPS(収益率16倍)で類似批准評価して事。そして今このFACEBOOK株は非公開市場で盛んに取り引きされている。従業員などが、公開時の利益狙いのヘッジファンドに売っているのだ。

こんな現象はバブルの頂点でもあっただろうか。そして考えてみれば26歳で7000億の資産はビルゲイツでも成し遂げられなかった快挙だ。確かにFACEBOOKは凄い、3人の子供は皆がその世界に浸っている。だが90年代に人類の労働生産性の次元を変えたあのマイクロソフトよりも早いスピードでFACEBOOKの価値があると言われも、それが現実なのか、映画の世界の話なのか、筆者には正直いって区別がつかない。


まあこれも過剰流動性の中でそのマネーが行き場を求めているのだろう。そんな中、今日本でも話題の本「TOO BIG TO FAIL」を書いたニューヨークタイムスの記者が言った。「今の米国市場とその関係者は全員が自分たちはサバイバーと表現する。つまり災害を生き残ったような感覚で、まるで彼らは被害者だったような理屈。そして誰もREMORS(良心の呵責)を持っていない。これでは「TOO BIG TO FAIL]が繰り返されるのは時間の問題だと・・

0 件のコメント: