2011年3月11日金曜日

ローマ帝国の虫歯(特別号 顧客レターの写し)




TAKIZAWA レタ― ファイナル

サウジの話もここでは先月末に紹介した話。だとしたらどこまでのインパクトなのか。まあこの喧騒の後、株は50日移動平均を割れて200日を目指す展開になるかどうか。個人的には来週にかけてその1点に注目。それを確認してポジションを取っても遅くはないだろう・・。
 
 <ローマ帝国の虫歯>

ところで、上のチャートは1870年代から現在までの対インフレの株価パフォーマンスである。確認事項としてNYSEのダウ指数が確立していなかった1870年前後、株は暴落していた。

つまりチャートの起点は当時の株のボトム。そしてチャートの作者の結論は、経済の成長と共に株も商品(インフレ)も上がり、今は先にインフレが走っているが、これらから株が追いつくというもの。

だが違和感だ。むしろ個人的には初めてレンジバンドが切れ、株の収益は商品に比べ限りなく下がる可能性を感じる。その根拠は今FEDがやっている事はやはり神への冒涜だからだ。

それを具体的に解析する前にそろそろゴールドとオイルと/穀物を同じに扱うのは止めたい。これからは①ペーパーマネーの代替としてのゴールド、②経済活動に必須なオイル、③人間に必須な食べ物(穀物)として別けるべきだ。

そして神への冒涜としたのは、FEDは①と②は自分でコントロールできるが、つまりやり過ぎたと思えば調整が出来るが、③には力は及ばないこと。そして神を冒涜した罪は、必ず③からほころびが始まるという事だ。

そしてここからはエコノミスト誌の特集の紹介になるが、人類は先進国が想像する以上の食糧危機の淵にある。

まず地球の人口は2050年には90億になるらしいが(最上段のチャート)、その前に2010年から1960年代以来の現象が始まったという。現象とは穀物生産が人口の増加に追い付けない構図。

同紙は小麦の例で解説していた。小麦は肥料による増収が本格化する前、数字が存在する1855年から1960年代初頭までは概ね1ヘクターあたり2トンの収穫が「自然の恵み」として延々と続いていた。

それが肥料の改良で爆発的な増産が可能になり、最先端技術の米国では9トン、米国以外の地域でも6トンまで伸びた。だがここからは同じ土地を利用する限界があり、一方で人口は爆発的な増加が続き、穀物生産が予想需要を下回る60年代以前に逆戻りするという。(エコノミスト)

これは小麦の話。ならば別の穀物で代替するか。しかし世界には、小麦の代わりに米でもパンを作ってしまう日本の器用さはない。

昨今もインドは玉葱、エジプトは小麦で暴動になったではないか。こう考えるとエジプトの動乱は穀物高騰が一因でその結果がオイルの高騰。この二つの現象を同類にすべきではない。

見方を変えるとFEDが緩和政策を辞めればオイルは下落するだろう。続けたとしても、上昇はどこかで必ずバランスを崩し経済は崩壊する。そうなれば需要は落ちる。その前に別のエネルギーにとって代わられるかもしれない。だが人口が増え続けるかぎり食べ物の需要は増え続ける。

そうなるとある時点で既存の過剰流動性は一気に食べ物か、その次は水や空気といった人間の生命に必須なモノに襲いかかる。さすれば金を持たない大多数は暴力に訴えるしかない。

恐らく今の若い市場プレーヤーは「マーシャルプラン」は知っていても、マーシャルが復興プランの前に、まず食べ物の確保を優先した事は知らないのだろう。そしてそれはバーナンケも同じではないか・・。

最後に、エコノミスト誌が面白い教訓を紹介していた。

ローマ時代の歴史家LIVYは、ローマ帝国の衰退の起源をセレブの間でクッキングの習慣が始まった時としているという。つまりローマが健全だった頃はシーザーもマークアンソニーも採れた食べ物をそのまま食べていた。

ところが、クッキングの習慣が始まり、レジャーが始まると、それはまるで虫歯が広がるようにローマはゆっくり衰退に向かったというのだ。

ならば、今、英語圏で一番視聴率が取れるテレビ番組は料理番組と言う現実はどう観るべきか。



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