2011年3月14日月曜日

復興の先

「誘惑に負け、禁断の木の実を食べたことで生きる苦みを知ったアダムとイブ。そして子のカインは己の心の闇を知り、弟のアベルを殺してしまう。この様に神は人間を弱い生き物として生み出した。そしてその弱さ故に神の教えを守る事を期待した。ところが、愚かな人間は神の教えを忘れ、乱れた生活をするようになった。だがそんな中でノア(アダムとイブの三男セツの子孫)だけは神の教えを守った。そこで神はノアに箱舟を作る事を命じた。ノアは神の指示に従い家族と動物の雄雌を入れた。その後、神は大洪水を起こして残った全てを消し去った・・・。」(創世記から)

この二日間、なぜ神は日本にこの苦難を与えたのかをずっと考えた。すると息子が言った。これは罰ではない、テストだ。なるほど。では何のテストだろう。菅総理の涙にその答えを見た。「この復興は被災地の復興ではない。日本の復興である・・。」その通りだと思った。考えてみればこの20年、日本はまるで迷い船だった。80年代は順風満帆。だがその航路は起点となった戦後の復興から米国が敷いた海図の上だった。ところがクリントン政権後、米国が護送船団を解散すると日本は新たな航路を国民に示す船長が育たないままさ迷った。それでも沈没しなかったのは過去の貯蓄があったからだ。一方その貯金が邪魔となり必要なリスクも取れなかった。そしてさらに混迷するかと思った瞬間神は日本に苦難を与えた。

だがこれで目標ができた。菅総理の言う通り、復興は被災地の復興ではなく、日本の復興でなければならない。日本は今回の被災地をそのための犠牲として考えられるだろうか。そんな中でこちらの報道は日本を二つの点で称えている。一つは高層建築の耐震性。これで評判が実証され、日本の建設会社の株は上がるだろう。そしてもう一つは混乱時でもマナーと規律が堅持された社会だ。ならば新しい復興の指針は見えたのではないか。

時間が過ぎれば傷口はふさがる。だがその先が貧富の差が更に拡大したメキシコのような世界では意味がない。神はそんなことの為にこの試練を与えたのではない。明治維新も戦後の復興も日本人の特性が活かされた奇跡。だがその奇跡の後日本が世界に影響を与える事はなかった。なぜなら物質的な豊かさは先進国の模倣だったからだ。だが今世界はその極致だった米国型の自壊局面を迎えている。今彼らが日本を褒めるのは、彼ら自身が米国型社会の限界を感じ始めたからだろう。ならば今こそその時。復興の先には日本に独自の新しい価値観が確立していてほしいものだ。




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